本日はアニシナ日和です。せかんど! 8 ページ16
「フォーンクライスト卿ー!!フォンクライスト卿ギュンター!!!」
「ひぃぃぇえええええ!!!」
「あ、アニシナちゃんだー。」
「あにしなぁー」
「ヨザック!!何悠長な事を言っているんですか!!」
不気味な魔女の笑みを浮かべながら、じりじりと寄って来るアニシナを見たギュンターは咄嗟に掴んだダカスコスの腕をそのままに、城の奥のほうに走って逃げていった。
「あ、コラ!お待ちなさいギュンター!!」
「ひぃぃぃ!!!」
「あにしないっちゃったねぇー。」
「・・ギュンター、達者でな・・・」
「あはは、まぁ・・・無駄なあがきなんでしょうけどね・・」
苦笑するヨザックの隣で両手を合わせて拝むヴォルフラムに、不謹慎だな、と言った視線を向けながら笑みをこぼすコンラート。
もう誰にも、コンラートが本当に思っている事が良く理解できない。
「あ、グリ江ちゃんはっけーん!!」
「・・・グレタ嬢ちゃん?」
花壇の横からひょっこり現れたのは、ユーリの愛養娘のグレタ。
フワフワの髪を揺らしながら、こちらに向かってきた。
「わぁー!これがちっちゃい頃のユーリ?!」
「ぐれたぁー。」
「可愛いねー!!」
「ところでグレタ嬢ちゃん、俺に何か用ですか?」
「そうそう!グリ江ちゃんとコンラッドに用事があったの!ちょっと来て来てー!!」
「あ・・・」
というと、二人が連れ去られたら、ユーリとヴォルフラムだけになってしまう。
護衛的な意味では何も問題は無いのだが、今の二人の関係性から行くと、違う意味で危ない気がする。特にヴォルフラムが。
だが、グレタにそれを話すまもなく
二人は連れ去られてしまった。
「・・・どうして僕が残されなきゃいけないんだ・・・。僕がユーリに嫌われているのを知っているだろう・・・」
どんよりと不吉なオーラを浮かべながら顔を引きつらせるヴォルフラムの下で、戸惑っているユーリがおろおろしていた。
チラリとうつろな目を向けてみると、ビクっと体を震わせて、涙目で見上げてくる。
ヴォルフラムも思わずため息をついてしまう。
「僕にどうしろって言うんだ・・・・」
頭を抱えてしゃがみこむと、またもやビクリと体を震わせるのが見えた。
婚約者なのにこんなにも怯えられるなんて・・・、と
心の中でヴォルフラムは何度も呪文のように唱えるのだった。
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作者名:響 | 作成日時:2012年5月22日 22時