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私がそう言うと、俺様は最強だからな!と何故か得意げな顔で前の席にドカッと座る伊之助。傲慢だなぁ。
はぁ、溜息混じりに笑いながらスマホの電源を落とす。
「…何?そんな見つめないでよ、照れる。」
「はぁ?!見つめてねぇし!勘違いすんなボケ!!スマホケース見てただけだボケ!!」
「ボケボケ言い過ぎじゃ…。」
「ふん!…ていうかお前、先生の連絡先とか持ってんのかよ。」
神妙な面持ちになったかと思えば、途端にそんな質問をしてきた。
居ずらそうに廊下の方を見ている伊之助を見ながら、心の中で物凄く驚いた。
伊之助がそんなこと聞くなんて、珍しいな!え、なんだろう?なんでだろう?明日っていうか今日っていうか、今すぐにでも竜巻が襲ってきそう。
驚愕のあまり何も答えられずにいると、不思議な顔をしていた私に視線を戻し、クワッと犬歯を剥き出しにして「答えろやボケェ!!」なんて叫ばれた。
「いや…唐突過ぎて理解が追いつかなかったわ。先生なんて誰一人として連絡先持ってないけど、なんで急に?」
ぐ、と押し黙る伊之助。再び気まづそうな目をぐるぐる泳がせて、小さく口を開いた。
「…別に、なんとなくだ。」
「えぇー…?なんとなくぅー?」
「うっせえ!」
「いひゃ、ひょ、やめへ!いひゃい!」
思いっきり片手で頬を掴まれたので、骨が悲鳴を上げている。めちゃくちゃ叫んでいる。
両手で腕を掴むが、自称最強を言うだけあって力が強い。めちゃくちゃ強い。
結局、担任の先生が教卓で発言するまで攻防は続き、じんじんと痛む頬を摩りながらつまらなそうに頬杖をつく背中をじとっと睨んだ。
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「わーーん!Aちゃん来るの遅かったから、忘れられちゃったのかと思ってたぁー!」
「ホントごめんなさい…。」
朝礼後、睨んでいた事がバレていたらしく、伊之助とちょっとした第二次攻防を繰り広げてしまい、蜜璃先輩の元へ行くのが遅れてしまった。
相当心配だったのか、後ろの扉窓から見えた蜜璃先輩は哀愁漂っていて、罪悪感に殺されかけた。
綺麗な桜餅色をした髪を丁寧に、慎重に、しっかりと結んでいく。
真正面から顔をじっと見つめてくるので、ちら、と表情を伺うと、林檎色に染まった頬。
「なんですかぁ、見つめないで下さいよ、恥ずかしいっ。」
机に予め置いてあったゴムでとめれば、普段の蜜璃先輩に。
安定ではあるが、ポニーテールも新鮮で中々好きだ。何より顔が良いのでどんな髪型でも似合うだろうが。
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作者名:さらだまん | 作成日時:2019年12月11日 20時