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Nine ページ10

記憶細胞は思わずえっ、と困惑の声を上げてしまった。
「俺が君に名前を? 」
「はいっ! 」
さすがにそれは、と断ろうとしたが、成されることはなかった。
一般細胞の期待に満ちあふれ輝く瞳がそうさせてくれなかったのだ。
「わ、分かった」
「本当ですか!やったー! 」
記憶細胞にはそう答える選択肢しかなかった。あの輝きに抗える術など持ち合わせているはずがない。
今度は記憶細胞が頭を抱える番だった。
彼女にとって、今後大切になるもの。軽々しくつけていいものではない。記憶細胞にもそれはよく分かっていた。だからこそ悩むのだ。
うーんうーんと唸っても、空を仰いでみても、いい名前は思いつかない。
あまりにも思いつかないものだから、どうしたものかと一般細胞の方に顔を向けた。
しかしパッと一般細胞を見た瞬間、記憶細胞の口からその名前はこぼれ落ちた。
「A」
「へ? 」
記憶細胞は候補に挙げたどの名前よりも、1番彼女に似合う名前だと思ったのだ。
「これから君の名前はAだ。……どうかな? 」
何も音がしない、記憶細胞はそんな錯覚を起こした。
あまりにも一般細胞が黙っているので、記憶細胞は自分の発言を取り消そうとした。
「私、今、何て言っていいか分かりません」
記憶細胞は一般細胞の言葉をマイナスの方向に捉えた。
やっぱり、嫌だったのか、と。
「嬉しすぎて、うまく言葉が出てきません。こんなことって本当にあるんですね」
「そうだよな……え? 」
「Aって名前、すっごく気に入りました!ありがとう、記憶さん! 」
ネガティブに考えていたがゆえに、記憶細胞はこれは夢じゃないかと混乱していた。
Aは嬉しさのあまり、子供みたいにくるくると回っている。
そこまで喜んでもらえるとは思っていなかったため、記憶細胞はどんな顔をしていいか分からなかった。
そのため、記憶細胞がAに“記憶さん”と呼ばれたことに気がついたのは、帰り道の途中だった。

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設定キーワード:はたらく細胞 , 記憶細胞   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:futureblue鏡 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年3月8日 17時

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