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Twenty-nine ページ31

「は? 」
「あれ? 」
2人が同時に声を上げた。
先に次の言葉を発したのはAの方であったが。
「あの、えと、違うんです!マスト細胞さんお綺麗だから記憶さんもああいう方が好みなのかなって思って、ってそうじゃなくて、とっとにかく違うんですっ! 」
何を言っているんだ、私は!ますます墓穴を掘ってどうする!そもそも何で今、記憶さんのタイプとか気になってんの!?
Aはパニックになっていた。言う気はちっともなかったのに、するりとこぼれ出ていってしまった言葉にA自身も驚いたのだ。
慌てているAを、記憶細胞はまず落ち着かせようと声をかけた。
「A?とりあえず落ち着こうか。あそこのベンチで少し休もう」
指さされたベンチにAは一つ深呼吸してふらふらと赴き、記憶細胞は近くのドリンクコーナーで2人分のお茶を用意して、Aの待つベンチに向かう。いつもの2人とすっかり逆転してしまっていた。
隣同士に座ってズズッ……とお茶を啜る記憶細胞とA。長年連れ添ってきた夫婦のようにすら周りには見えた。
「それで? 」
記憶細胞が本題を持ち出した。
Aは視線をあちこちにさまよわせた後、観念したかのように話し出した。
「私って女らしくないじゃないですか。それでマスト細胞さんは美人でしょ。私と全然違うなあと思いまして」
Aは自分の胸に手を当て苦しそうに顔を歪めた。
「マスト細胞さんと記憶さんが話しているのをボーっと見てたら、なんかここらへんがギュッてなったんです」
「ギュッ? 」
「なんか締めつけられる感じっていうか。黒い感情が私の中にあるみたいなんですよ。どうすればいいか分かりませんし」
記憶細胞はAの感情に思いあたることがあった。
「それは嫉妬じゃないか? 」
「嫉妬? 」
Aは嫉妬という言葉を知らなかった。もちろん意味など知っているはずもない。
「うーん、説明が難しいんだけどなあ。自分より優れている人を羨ましいって思う時に当てはまるって聞いたことあるぞ」
Aは納得した。Aはマスト細胞を羨ましいと思っていたのだと。
自分の今の気持ちに名前がついたことで、少しばかりスカッとした。
「そっか。私、嫉妬してたんだ」
Aはポツリと呟くと、立ち上がってぐぐっと背筋を伸ばす。瞳を開けたAに、先ほどまでの曇り模様はもう見受けられない。
「ありがとうございます、記憶さん。なんかスッキリしました! 」
記憶細胞はホッとした。
Aの様子がおかしかったのは、Aの持つ劣等感から生まれたものだと判明したから。

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設定キーワード:はたらく細胞 , 記憶細胞   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:futureblue鏡 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年3月8日 17時

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