Twenty-five ページ27
「……はい? 」
記憶細胞は思わず聞き返した｡自分の聞き間違いかと思って｡
「だから!こんないい子をどこで捕まえたの!? 」
聞き間違いではなかった｡記憶細胞の耳は正常であったらしい｡
「初めて会ったわよ、こんなにアタシの仕事を批判なしで理解してくれる子! 」
「それは分かる｡文句は言われても褒めてはもらえないもんな」
「本当そうよ!こんないい子、絶対に手放すんじゃないわよ! 」
喧嘩中だったB細胞とマスト細胞が共感している｡Aの発言は効果抜群だった!
Aが2人に褒められているのを見て、記憶細胞は自分のことのように嬉しくなった｡
そして少し調子に乗って言ってしまったのだ｡
「Aは俺の自慢の友達だからな! 」
一瞬、シンと音がなくなった｡
すると、Aがマスト細胞の腕から顔を出して答えた｡
「嬉しいです!記憶さんも私の大事なお友達です! ｣
記憶細胞とAの間にほんわかとした空気が流れる中、B細胞とマスト細胞は目を点にしていた｡
それから2人は、顔を見合わせ会話をする｡声には出さないで、目で意志疎通を行った｡
(なあ)
(待って、何も言わないで｡言いたいことは分かる)
(嘘だろ?信じられねえ)
(アタシだってそうよ)
記憶細胞とAは2人の変わった様子に気づかず、普通におしゃべりしている｡
(付き合ってないなんて……)
(あっテメッ俺が言おうと思ってたことを! )
マスト細胞が感じたように、B細胞も同じくAと記憶細胞は付き合っているものだと思っていたのである｡
距離が近い｡ニックネームを呼び合う｡互いを見つめる瞳の優しさと温かさ｡
そして何より醸し出す雰囲気がカップル｡しかもいかにもリア充!という感じでは決してなく、思わず見守りたくなるような雰囲気なのである｡
無自覚であること、それは時に恐ろしいものに姿を変える｡
B細胞とマスト細胞は再び見つめ合い、頷き合った｡
何が何でもこの2人を自覚させよう、と｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2019年3月8日 17時
