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次の日、人が少ないうちに登校して、
イドンヒョクの席に筆箱を置いてこようかと思ったけど、
思えば理系クラスってことしか知らないし、クラスがわかったところで席がどこかなんて分からない。
元々そういうの気にするタイプじゃなかったけど、イドンヒョクのことに関しては、
他人に色々聞くのはプライドが許さなかったし、人目も気になったので、結局諦めた。
机に突っ伏して2度寝。
次体を起こした時には、前の席のロンジュンはじめ、クラスメイトの多くが教室に居た。
「あ、起きた。これ朝課題」
丁度振り返ったロンジュンが、前から手渡されるプリントを私に回した。
ぱちぱち瞬きしてそれを受け取る。
「…あー、ファンロンジュン、ちょっと待って」
体の向きを前に戻そうとしたロンジュンを引き止める。
机の中から黒い筆箱を取り出して、差し出した。
「これ…例のイドンヒョクに、渡してくれない…？」
「ドンヒョクの筆箱？」
眠気と戦いながらこくこく頷く。
「自分で行ってこいよー、理系クラスは校舎も違うし授業でも会わないし、面倒臭いじゃん」
「冷たいこと言わないでよ…昨日会った仲じゃないんだから」
「俺とお前って友達なの？」
思えばロンジュンに頼み事なんてした事ない。
するたちじゃないし、何となくそんな間柄でもないし。
「私、イドンヒョクの友達はロンジュンしか知らないの…あいつを自分から隔離して生きるためなら、手段を選ばないって決めた。頭下げるよ…お願いします」
こつんっておでこを机の上にぶつける。
「隔離すんの」
「詐欺師なんでしょ」
「この筆箱、あいつが家庭教師の時に忘れてったとか？」
机におでこをくっつけたまま、頷く。
「Aに頭を下げさせた男だ」
筆箱のチャックをジージーいじりながら、ロンジュンが呟いた。
「イドンヒョクに下げたわけじゃ無いんですけど…」
「早めに持ってかないと、一限受けられなくて困ってるかな？」
「鉛筆くらいそこらへんの人に借りんじゃないの？」
「お前は多分、自分で持ってくよ」
顔を上げた。
「…え？」
ロンジュンが黒い筆箱をゆらゆら揺らして、そのまま机の端っこにしまった。
「A、俺がもしお前のこと推薦したら、体育祭の実行委員やる？」
「…え？急に何の話？」
「実は俺実行委員なの」
「…へーなんか意外…だし、私はいいよ、そういうの得意じゃないから。ごめん」
「友達の頼みでもないんだから、謝るなよ」
ロンジュンはちょっと笑って前に向き直した。
わざわざどうして内気な私に頼むんだろ。実行委員なんて。
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作者名：ユン | 作成日時：2021年9月28日 14時
