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「テヨナ、何で学校にいるの？」
「近くを通ったから…放課の時間だなって思って、一緒に帰ろうと待ってたの」
六限体育だったのー？って、呑気そうに私の隣を歩く。
「メッセージ送ってくれて良かったのに」
「送ったんだけど、既読がつかなかったから」
「あ…ごめん」
「ねぇAー」
あっ、って察した。
この声の色。テヨンが拗ねる時の低さ。
「購買から一緒に帰って来てた男の子は友達？」
「あっ…見てたの？」
「その反応は何なの」
「あ…友達だよ、知り合い寄りだけどね」
ふーんって言ってる。
「友達？」
「友達…はは、当然じゃん」
「エギヤ、オッパが、誕生日に電話してもいい？」
「いいよ、当たり前でしょ…あ、テヨン、今から少し時間ある？お願いがあるんだけど」
「時間あるよ。なになに？」
「インスタを始めたいんだけどさ」
「インスタ？」
テヨンが足を止めて、はいって私にコーヒーを手渡した。
「A、落ち着いて。コーヒー飲んで」
口に入ってくるストローを小さく噛んでちゅーって飲む。
そのカップを手に取って、テヨンも飲んで、って勧めたら、もう片方の手に持ってるのも私のだって。
テヨンが私の肩からカバンや荷物を取って背負うと、もう一つのコーヒーを手渡した。
「テヨンは、良い彼氏になるだろうね」
「Aはオッパの一番の妹だよ。Aがインスタ始めたいの？」
テヨンはリュックを背負い直してまた私の隣を歩き出した。
なんか話噛み合ってないけど、いいか。
「テヨン、『地平線』知ってる？」
「あっ。もしかしてAもハマったの？」
「え？テヨンも？」
「急にインスタとか言うから何かと思ったら、限定装備が欲しかったんだね？」
「課金アイテムに、見た目だけでも負けたくないだけなの」
テヨンはふふって笑った。
どうしても欲しい装備があったの？って。
「あったけど、期間限定販売のアイテムで、今はもう買えないの」
「あ…それ知ってる。オッパも欲しかったの」
「え？そうなの？」
「あれ抽選販売だったから漏れちゃってー」
「ねえ…それこれ？」
スマホの写真で見せたのは、あの日見たイドンヒョクの装備一覧。
覗き込んでテヨンはわーって声を上げた。そんなにレアだったんだ。
「そう、これ。わぁ、揃ってるねこの人。いいなぁ、俺も欲しい……あ、そんなことより、オッパがAのために何すればいいの？」
「私のアカウントフォローしてくれる？あとゲームのこと教えて欲しくて」
「いいけど、条件があるよ」
「うん、なんでもいいけどとにかくお願い」
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作者名：ユン | 作成日時：2021年9月28日 14時
