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「えっ今開けたの？」
「ふふ、ちょっと前に塞がった所だから」
「似合ってるね」
「ありがとう」
「誕生日なの？」
「どうして？」
ジェミン君は掲揚台を降りて、飛んで行った部品を探しに行った。
「イドンヒョクとイジェノは、ジェミン君にピアス買ってあげるために今日働いたんでしょ」
「誕生日はまだだよ」
「…日常的にプレゼントする仲？」
「俺に貸しでも作るんじゃない」
「友達でしょ？」
私は足を折りたたんで台の上に乗せた。
ジェミン君は芝生の上を手で探る。
「友達だね」
「うん」
「俺とAさんは？」
春の夕暮れに、涼しい風。
夏は随分先みたい。
ジェミン君は芝生から何か拾い上げて、ポケットに入れると、
掲揚台の上に置いていたジャージを羽織った。
「友達になった瞬間が負担なの」
そう答えた。
男の子の友情なんて知らないけど。
「友達だって思ったら期待しすぎちゃうよ。相手との気持ちの差が気になって仕方ないし」
「気持ちの差？」
「友達って期限付きでしょ。終わりを予測しなくて良くなるもん」
自分のポケットを探って、茶色の封筒を取り出した。
「彼氏みたいなもん？」
ジェミン君は掲揚台に腕を置いてそう言った。
「そうかも」
「期待したくないんだね」
「重いよね…」
「名案だと思うけど」
ジェミン君の顔を見た。
ジェミン君は小さく口角を上げた。
こっちのジェミン君の方が、私はしっくりくるな。
「はい、これ」
ジェミン君に手の封筒を差し出した。
「何？」
「今日の私とロンジュンの分のお給料」
「俺に？何で？」
「私はいらないから」
「ロンジュンにあげればいいよ」
「ロンジュンは今日のことを貸しにしたいんだってさ」
「それでもいいって、俺は」
「ううん、受け取って。イドンヒョクにはむかつくからあげたくないし、もしイジェノにあげたとしたら、ジェノってジェミン君にあげそうでしょ」
ジェミン君に押し付けた封筒。
「…俺もうピアス買ったのに…」
しぶしぶその封筒を握って、ジェミン君はぼそぼそ呟いた。
「俺にプレゼントってこと？」
「うん」
「じゃあ俺たち友達になる？」
「友達？」
「終わりはいつか来るよ」
何にだって、って付け足すジェミン君。
「友達として俺にプレゼントしたんじゃなかったら、告白みたいじゃん」
「はは、ジェミン君そんなこと言うんだ」
きゅって上がる口角。少し見えた白い歯。
「むかついたり、貸しにしたり、わけもなく贈り物しあう、終わりはそのうち来るけど、まあいつでもいいかって思う関係のこと、友達って言ってもいいんじゃない」
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作者名：ユン | 作成日時：2021年9月28日 14時
