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私はいらないよって封筒を返そうとしたけど、断られた。
その代わりまた、腰痛の時に手伝いに来いって。
その後とぼとぼグラウンドの周りを歩いて、
国旗掲揚台の上に座って休んでる人達が何人かいたから、そのまねをして端っこに座った。
風を浴びてたら隣に座ってきた人がいた。
横を見たら、まるくて儚げな瞳と目が合った。
「…あ」
ジェミン君。
1度も2人きりでまともに話したことがない。
少し動揺して目が泳ぐ。
「今日はお疲れ」
「あ…うん、購買のお手伝い来てくれて助かった」
ジェミン君は空の向こうを見てる。
「ううん。自分のために働いただけだし」
ポケットに手を突っ込んで、私に、きらきら光る小さなものを見てくれた。
「あ、ピアス」
「ふふ。もう買ったの」
「良かったね」
そういえば、ジェミン君たちはサッカー優勝できたのかな。
あんなに働き詰めだったのに、ちゃんと全試合出場したことだけでも凄い。
「…ジェミン君って」
話を繋ぐつもりで言った。
私に話すことがあったから隣に座ったのかもしれないから、話してみてもいいのかなって。
「理系クラスの知り合いが、いつも明るくて元気で、おかしな事をして笑わせようとしてくれる子だって…そう聞いてたけど、会ってみたら全然違った」
本当に断片的な記憶しかないけど。
「ひょうきん者っていうより、落ち着いてて、周りをよく見てるタイプでしょ？」
ジェノを待つジェミン君や、
ロンジュンやイドンヒョクとも一緒にいた時のジェミン君は、あまり喋らなかった。
にこにこして、ただ私たちの話に耳を傾けてくれていた。
「友達じゃないの？」
「……誰が？」
「理系クラスの友達、じゃないの？」
「…え？」
ジェミン君はこっちを見た。
「Aさんって、私の『友達』って言わないよね。ドンヒョクのこともロンジュンのことも友達って言わない」
「…ロンジュニは……あっちも、私のこと友達だなんて言いたくないと思う」
「『友達』じゃない奴が見返りなしに、アルバイトの手伝いなんて普通しないよ」
「今日は…事情があって」
しりすぼみの言葉。
その『事情』が何かなんて、実は私もよくわかってない。
「友達の基準を聞きたい訳じゃなくて」
ジェミン君は数秒言葉を止めた。
「別に、うん、何か聞きたいわけじゃなかったの」
バチンって小さく音がして、何か小さな物が前に飛んだ。
いたっ、って声に隣を向いた。
ジェミン君が私に耳たぶを広げて見せてくれた。
片耳に光るきらきらのピアス。
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作者名：ユン | 作成日時：2021年9月28日 14時
