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体育祭当日は、私が想定していたものとかなり違った。
トーナメント形式で上手く行けば準決勝くらいまで進んで、後は適当に他の競技の観戦をするんだろうって。
実際私はレジ打ちをしてる。
購買のレジ台で。
「お釣り20円です、ありがとうございましたあーぁああおばさぁんレジが一生終わらないよおぉー」
隣で固定電話の受話器を持ってる、購買のおばさんに向かって泣きべそ状態。
体育祭は学校の一大イベント。特に飲み物を買うために人がわんさかやって来る。
「稼ぎ時なんだから仕方ないでしょ」
「学校の購買なのにそんな飲食店みたいな…」
おばさんは私が今朝購買の前を通りかかった時、誘拐と言わんばかりに腕を引っ張って、無理やり私をアルバイトとして働かせ始めた。
言葉巧みに説得されて、かれこれ1時間くらいは働き続けている。
私今日何しに学校来たんだ？
何でずっとレジのバイトを？
「精が出るなバイト」
次レジ台に商品を置いたのはロンジュンさん。
すかさずレジに置かれた瓶ジュースとお菓子を腕で囲んだ。
「あっ何すんだよー」
「ロンジュナ〜私の仕事手伝ってよ〜」
「え？何で」
「これ全部私が奢るからお願い…」
ロンジュンはレジ台に両手をつく。
「絶対人に頼らない負けず嫌いAがどうしたの」
「私だって好きで働いてるわけじゃ……あっ、オンニ、それは新しく今日入荷したやつで数量限定だからオススメですよ」
レジから身を乗り出して、すぐ前の棚にいた先輩に声をかける。
ロンジュンも振り向いてからまた私の顔を見る。
「…一丁前に接客してるじゃん…」
「品出しやってくれない？特にジュースとアイスがもう品薄で」
「そんなに忙しいなら購買閉めれば？」
「稼ぎ時だよ？」
「はっ？」
二重人格？ってため息ついてるロンジュン。
精が出るなバイト〜って、ロンジュンと全く同じことを呟きながら、レジ横から顔を出したのは例のイドンヒョク。
と、その背後にイジェノとナジェミン君。
それぞれクラスのユニフォームを着てる。随分似合ってる。
「仲良すぎじゃない？常に団体行動？」
みんなの顔を見渡す。
「今日の購買のバイトが商売上手だと話題だったから来てみた」
「冷やかしに来たのね」
理不尽にイドンヒョクを睨んでみた。
イドンヒョクが何か企んでそうに目を細める。
「俺が仕事手伝ってあげてもいいけど？」
「いや…頼んでないし、帰ってよ。レジ詰まってるしロンジュンもほら」
「だからレジ通してよ」
「あんたは残って手伝ってってよ、補欠なんでしょ」
「なんで俺だけなんだよ」
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作者名：ユン | 作成日時：2021年9月28日 14時
