来世はたぶん出会わない (ページ22)

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その日学校で1、2を争うくらい早くに登校したら、
校舎にたどり着く前に購買のおばさんに捕まって、品出しの手伝いを頼まれた。

「おばさん、何で私なの〜」

踏ん張って重たいダンボール箱を持ち上げる。
棚の向こうに居るおばさんが、えー？！って声を上げた。

「私見たのよ、あんたがそこのグラウンドで、信じられないくらい遠くまでボールを投げてる所」
「肩が強いのは認めるけど、だからって…」

ダンボール箱を置いて、開いて、スナックを棚に詰める。

「肩は強くても重いものが持てるってわけじゃないのよ」
「あんたスポーツ選手になるんじゃないの？鍛えてるんじゃなくて？」
「もぉーおばさん私がそんなこといつ言ったのー？」
「あ、そのセットは棚の1番上に入れ替えて置いて」
「はぁーい…」

早朝から学校で自習しようと思ってたのに。
でも購買のおばさんにはいつもオマケしてもらったり夏場はキンキンの麦茶をもらったり、結構お世話になってるから断れない。

ぐんと背伸びをして1番上の棚に手を伸ばす。
手前のカップ麺ひとつを手繰り寄せようとしたら、その上に乗ってる2つ目と3つ目が一気に倒れてきそうになった。

「わっ………あ」

目を細めた瞬間に、大きな手が品物を支えてくれた。
ほっと安心して横を見ると、

「あ！イジェノ！」
「やあA〜」

イジェノが品物を今日に3つ手に取って、抱える。

「これでいい？」
「わぁ〜ありがとう、本当に助かった」
「おばさんー、俺も手伝おうか」

イジェノはにこにこ笑顔でおばさんのいる方に声をかける。
自分から提案するなんて、なんと言う好青年だろう。

「A朝早いね」
「今日はなんとなくね」

イジェノとはバスの方向も時間帯も大体同じで、
バス停や車内で会うことが判明して、その度によく喋っていたら、意外と気が合った。
イドンヒョクの友達だからか、意外と鋭くて気が回る子で、
私が先生の伝言と言ってイドンヒョクを呼びに行っていたことも、既にばれてそう。

でもそれをとやかく追求してこない。
話しやすい。イドンヒョクよりはずっと。

「…あ、もしかしてイジェノ…」

ある程度の品出しを2人で終えた後、
自転車が急停車する音に反応して売店の外を見たら、ジェミン君の姿があった。

「ジェミン君が待ってる。もう行ったら？」
「マジ？じゃあもう行かなきゃー」
「もう少しで終わるから気にしないで」
「うんー」

イジェノは品出し表を確認しながら、持ってた分を棚にしまい終えると、
たたたって駆け出してジェミン君に会いに行った。