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「弱点…？」
「テヨンみたいな…二重人格みたいな人…って言うより私たち兄妹？」
「…」
「自分の想定通りに会話が進まない空気が何となく分かった。私たちの関係性を嫌がるのって、自分が入る隙がないからでしょ」
どんな状況でも必ずこっちに向くテヨンの意識。
普通の人間には無い特別ルール。イドンヒョクに理解は出来ても入り込めない。
「…俺も見逃さなかった」
イドンヒョクはテヨンが置いてった紙袋から、コーヒーを勝手に手に取ってストローを刺した。
「別れ際にテヨンイヒョンがハグしてきた時の、お前のしたたかな目を…」
1口飲んで、あまっ、って呟いてる。
「急に甘えだしたのも計算って…お前のこと見くびってたかも」
「計算だなんて言ってないけど」
「俺の弱みを確認するためにヒョンを誘惑するなんて」
はあーって、人のコーヒーを勝手に飲みながらため息ついてる人。
「話に聞いてた以上の溺愛にビビってただけだよ。こんなのは俺の弱点になんてならない」
「威勢を張らないで、今はテヨンと私に感謝してよ」
「してるよ。俺はお前の頼み事なら何でも引き受ける」
「あんたに頼み事なんて死んでもしない」
コーヒーを飲み干した。ジュコッて音と一緒に立ち上がる。
「私たちってコーヒー片手に談笑する仲じゃないよね。さっさと授業始めようよ」
数学のテスト用紙を手に階段を上る。
「ヒョンはお前のどこがそんなに可愛いんだろう？」
イドンヒョクがその後ろを付いてくる。
「あざとく小さなことに気付いて思いやるとか？テヨンイヒョンと同じ熱量でお前も接してるわけじゃないでしょ？」
「テヨンはいつまでも私の事小さな幼稚園児だと思ってるの」
「それってヒョンが重症なだけ？」
「私もある程度依存してる方だと思う。相談事は何でもテヨンにしてきたし、学校も持ち物もテヨンの真似ばっかしてたし」
自分の部屋に入って椅子に座る。
机の棚にはトロフィーが飾られている。テヨンが高校生の時研究で貰ったものなのに、私の机に飾りたいって言ってたから。
「オッパが居て良かったって思った時は、素直にそう言うようにしてるの」
テヨンと私を前にすると、イドンヒョクの絶対領域は崩壊する。
でも私の場合も自分自身の、あまりにもプライドの高すぎる性格は、テヨンの前では適用されない。
「あー、それは可愛いだろうね」
イドンヒョクがコーヒーを手に私の隣に座る。
「あんたも参考にしていいよ」
「はー急に言うようになったなマジで」
笑ってるのを見て、
気付いたら私もくすって笑ってた。
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作者名：ユン | 作成日時：2021年9月28日 14時
