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テヨンはその後飲みかけのコーヒーを手にして立ち上がった。
「もう行かないと」
「あ、そうなの」
「寂しい時はオッパに電話してねA」
「うん…」
私の耳たぶをちょっと触って、ひひひって小さく笑うと、
テヨンは荷物を抱えて玄関に向かった。
「まってよヒョン〜」
それをたたたーって追いかけるイドンヒョク。
「ドンヒョギ、お前も頭いいけど気を抜かないようにしなよ」
「わかってるよヒョン、俺の心配してくれてるの？」
「必要だったらお前にも知り合いから家庭教師探すよ」
靴を履くテヨンにイドンヒョクがぴったりくっつく。
「ヒョン、俺のために？ヒョンに勉強のことで相談があるんだけどー」
「相談？珍しくない？何だよ〜」
ははって笑うテヨン。
はっとその時思い立って、靴箱の隣にあった折り畳み傘を手に取った、
「テヨン、傘持っていったら？」
こっちを振り返るテヨン。
「朝のニュースで見たけど、午後は雨が降るみたいだから。あ…肌寒くないように上着も持ってく？」
「エギヤ〜どうしてそんなに可愛いのおまえは〜」
うぅーって変な声を出して、また両手を大きく広げるテヨン。
「…オッパに風邪ひいて欲しくないだけだよ」
テヨンにまたハグをする。私の頭を撫でるテヨン。
そのままお別れの言葉をいくつか並べると、色々心配だからもっとこまめに連絡することを念押しして、
テヨンは家を出ていった。
最後に1度振り返って私に目配せしたイドンヒョク。
扉が閉まったあとにスマホが鳴って、画面を見たらイドンヒョクから、15分後にまた来るって内容のメッセージが来ていた。
ソファに座ってコーヒーを飲みながら、15分を適当に待っていたら、
15分後彼は自分で扉を開けて、ズカズカリビングに入って来た。
ソファに座って頭を抱えながら、堪えてた分のため息をはあーーって吐き出してる。
「自分が何でここに座ってるか分からなくなった…」
その姿がどうしてもウケたから、ふんってコーヒーを吹きそうになった。
「でも家庭教師を許してくれたんだから良かったじゃん」
私がドヨンさんを助けようと思っただけだけど。
「…でも二度と居座りたくない空気だった」
「あんたの弱点を初めて知った」
「…え？」
イドンヒョクがこっちを見る。
テヨンの意識に取り入ろうとした瞬間。
私が口を挟んだら、
イドンヒョクに真っ直ぐ向かっていたテヨンの視線が、こっちに動いた。
途切れる会話、一変する空気も、
予想外のものだったに違いない。
私はイドンヒョクの弱みをまた握った。
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作者名：ユン | 作成日時：2021年9月28日 14時
