来世はたぶん出会わない (ページ14)

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その場の感情に任せて、
私は逃げるようにその場を後にしてから、やっと気がついた。

また話を逸らされた。
私が知りたかったことはもっとあったのに。
しかもイドンヒョクが無理やり話を切り上げたんじゃない。私が自分でその話をやめにした。

あの男は何を考えてるの。
金儲けなら他の方法を使えばいいのに。私のことを巻き込んで欲しくない。

夜自習はシャーペンを折れそうなほどの力で握りしめながら、
家庭教師に課された課題を黙々とやるしかなかった。

机に項垂れてSNSを開いた。
イドンヒョクには、アカウントは無いって言ったけど、
今は芸能人の投稿を見るためだけに作った、フォロー0フォロワー0のアカウントを使ってる。

テヨンのアカウントからイドンヒョクのアカウントに飛んだ。
駆け出しアイドルみたいなフォロワー数。
それに対して投稿はさほど多くない。
はあ。私何してるんだろ。

イドンヒョクみたいな奴にもう振り回されないと、決意したばかりなのに。
ドヨンさんが無実だって発覚したし、これ以上私たちを騙した奴に情けをかける必要は無い。
考査が終わったらクビにして縁を切ろう。そうしよう。

考査前最後の家庭教師は、最後の復習問題を貰っただけで、
家に長居せず、さっさと帰った。
自分の勉強時間も必要だったのかもしれない。
中間考査も瞬く間に終わったようなものだった。

テスト日程が全部終わって帰りの支度をしてるクラスメイト達を横目に、私は手ぶらで教室を出た。
イドンヒョクと話をするためだった。

新校舎に向かってたら、おっ？って声が後ろから。

「A？もしかして理系クラスに行くの？」

振り返ったらロンジュンがてこてこ、歩いて来ていた。

「うんー。イドンヒョクに用があって。ロンジュニは？」
「体育祭の実行委員の仕事。理系クラスと打ち合わせ〜」

紙の資料をぱたぱたしながら、ロンジュンは私の横に並んで歩いた。

「どう？決めた？ドンヒョクに家庭教師続けてもらう？」
「ここで悪縁を断ち切らないと、手遅れになる気がする」
「受験との戦いって言うより、ドンヒョクとの戦いって感じだ」

間違いない。

「どうしていつも、イドンヒョクに先手を取られるのか教えてやろうか」

角を曲がってロンジュンが言う。

「…知ってるの？」
「実際俺の予言は常に間違ってなかったでしょ」

下校ラッシュで騒がしい廊下を抜けていく。

「…意地でも教わらない…」
「はは、それでこそイAだなー」

偉そうに笑う、呑気なロンジュンさん。