来世はたぶん出会わない (ページ13)

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「待って…1からもう1回説明して…」

そんな勘違い有り得るの。

「テヨンイヒョンは口頭でドヨンさんにお前の家庭教師を頼んで、正式な申し込みは事務所でするじゃん。ドヨンさんにはお前の家庭教師の仕事って名目で、違う子の家に行かせてる。ドヨンさんもその子がテヨンイヒョンの妹じゃないなんて気づいてない」
「あんたがすり替えたの？」
「高校生って肩書きで俺に家庭教師依頼してくる奴なんてまずいないの。実際俺もソウル大目指してる私立の子達の家庭教師なんて手に余るし。だから俺にできそうな仕事は先輩に横流ししてもらうか…」
「…ドヨンさんを騙したみたいに騙したり？」
「騙したのは初めてだよ」

はぁーって、ため息ついて呆れるのと同時に、
逆にここまで来ると感心する。

「…そんな嘘いつまでも通用する？」
「ドヨンさんが今家庭教師してるのは俺の友達の女の子で、事情を全部知ってて口裏合わせてくれてる」
「そこまでする必要あるの？」
「こんなに学校にバレにくくてお金稼げるバイト他に無いし」
「…変な奴…」
「教えたからお前も教えてよ」

どうしてそんなに頑張るの。
理解しようとしたって無駄なのかな。

「インスタは…昔やってたけど、友達とトラブルになった時にアカウント消して、それからやってない」

「ふーんそっか」
「それ関係あるの？…ていうか…ドヨンさんに罪悪感とか無いの？今も勘違いしてるテヨンにどう説明すればいいの？」
「お前が俺のインスタフォローしてないのに、ドヨンさんのインスタはフォローしてたらどうしようと思って」

「…は？」

思考がこんがらがる。
なんでこの人さっきから、私の質問に答えてくれないの。

「どうしてドヨンさんのこと、そんなに心配してんの？」
「あんたに振り回されて可哀想なの…当然でしょ、それにテヨンの後輩だし」
「お前ってドヨンさんみたいな賢い印象の人タイプでしょ」

はっ。えっ。何なの本当に。

「そんなこと言ったことないけど…もしそうだったとして、あんたに関係ある？」

イドンヒョクの瞳が私を見つめた。
吸い寄せられるような、下三白眼。

そのまま数秒。私たち今何の話してるんだっけ。
頭の中がショートしそう。
目を逸らして、階段の方を向いた。

「…もういい…」
「…」
「何言ったって無駄でしょ…勝手にして、あ、筆箱は届けたからね。もううっかり忘れないで」

「わざとだけど」

筆箱が揺れる、カチャカチャって音。

振り返ったらイドンヒョクが、ピンク色の舌を小さく出した。

自分が少しおかしいと自覚し始めたのは、まさにその頃からだ。