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次の家庭教師の日まで待てなかった。
私は黒い筆箱を片手に握りしめて、新校舎へ向かっていた。
もしかしたらドヨンさんは私とテヨンの中で、ぬれぎぬを着せられてるかもしれない。事態は急務。
私は理系クラスひとつひとつ、窓ガラスから中を覗いて、イドンヒョクを探した。
不審者のような姿が滑稽に目立ってたみたいで、
廊下側の窓からある男子生徒が身を乗り出して、私に声をかけてきた。
慌てて手に持った筆箱を背中の後ろに隠す。
「誰か探してる？」
「ああ…イドンヒョクはこのクラス？」
「ドンヒョギ？」
その子はぱっと教室を振り返って、私に笑顔を見せた。
「呼ぼうか？」
「あ、いいの。現代文のパク先生が呼んでるから、なるべく早く職員室に来てって伝えてくれる？」
あいつまた呼び出しかよって、その子の隣にいた男子生徒が鼻で笑った。
私に声をかけてくれた子は黒目の大きな瞳をぎゅっと細めて、了解ーって言って教室に戻って行った。
私は早歩きで職員室に先回り。
職員室のすぐ近くでイドンヒョクを待ち伏せた。
階段をリズムをつけながら降りてきた、家庭教師を呼び止めると、くるーんってターンして私のすぐ横に立つ。
「こんな人気の無いとこに呼び出して何？告白？」
「ふざけないで、分かってるくせに」
「筆箱ぐらいでわざわざ場所変えなくていいのに」
黒い筆箱をイドンヒョクに押し付ける。
「それはついでで、別に話があるの」
「その気持ちは受け取るけど今他に2人から同時に告白されてるから返事には時間が」
「あんたドヨンさんにも嘘ついてない？」
壁にもたれかかった私の横に、
首を傾げたイドンヒョクの頭が壁と小さくぶつかる、コツンって音。
「ドヨンさんが仕事を横流ししたんじゃなくて、あんたが横取りしたんじゃないの？ドヨンさんもあんたに騙されてるんじゃない？」
「ねえお前ってSNSやってる？」
「話聞け…」
イドンヒョクは体の向きを変えて、私と同じように背中を壁にくっつけた。
「インスタはイAで検索してもテヨンイヒョンのフォローから探しても無かった」
「テヨンとどういう関係なのかもそろそろ教えて」
「俺の質問に答えてくれたら教えるよ」
「あんたが私に隠してること全部打ち明けてくれたら教える」
数秒経ってから、イドンヒョクは口を開いた。
「ドヨンさんは今もお前の家庭教師やってると思ってるよ」
「……は？」
「仕事をすり替えたって言うより、人間をすり替えたって感じ。ドヨンさんが毎週お前の家だと思って通ってんのは、お前じゃない他人の家」
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作者名：ユン | 作成日時：2021年9月28日 14時
