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テヨンは大学に戻ってから、紹介してくれる家庭教師について色々メッセージを送ってきてくれた。
写真とか、動画とか。
名前はキムドヨンさん。
テヨンに教えてもらったIDのインスタを覗いたら、おしゃれで背が高くて、まさにかっこいい大学生って感じでちょっと緊張した。
ドヨンさんはお家が起業家とかで、大学にはバスで通ってるらしい。
聞いてたステータスまでカッコよかったから、初めてうちに来てくれる日、不安になってきてテヨンに電話をかけた。
『何が不安なの〜A』
電話の向こうのテヨンはケラケラ笑ってた。
「頭も良さそうだし…バカな高校生だってがっかりされないかな」
『不安でオッパに電話かけてくるなんて可愛いねぇ』
「話聞いてよ…」
てか声でかい。
また妹？って他の男の人の声が小さく聞こえる。ルームメイトかな。
『そんなひどいこと言うやつじゃないよ』
「だったらいいけど…」
『嫌ならやっぱりやめようか？』
「いや…大丈夫、わざわざ紹介してもらったし…」
家のインターホンが鳴って、慌てて立ち上がる。
「来てくれたみたい。もう切るね」
『はぁい。万が一セクハラされたらゼミから追放してやるし、すぐに言ってね、オッパの可愛いA〜』
最後に聞き捨てならないことを聞いて電話を切った。
ドキドキしながら扉を開けに行く。
開けた先に待っていたのは、
写真を見た時の印象より少し小柄な人だった。
帽子を深く被ってマスクをしている。
「こんにちは、テヨン先輩に紹介していただいたキムドヨンです」
でもそう言ってる。
「あ…はい、初めまして、Aです。よろしくお願いします」
会釈されて、慌てて私も頭を下げる。
帽子のつばの下に見えた瞳と目が合った。
何となく見覚えがあるような。
ドヨンさんはすぐにまた顔を下に向けた。
「あ、どうぞ中に」
「お邪魔します」
事前にテヨンが送ってくれた動画に入ってた声と違う。
写真に顔がはっきり写ってたわけじゃなかったけど、少なくともさっきの目は写真と同じじゃなかった。
ていうか、どこかで見た顔だ。
私、あの目を知ってる。
階段を上って私の部屋まで向かう。
部屋の扉を閉めて、私の椅子の隣に座ってもらった。
「部屋、ちょっと肌寒くてすみません」
「あぁ、いえいえ」
彼は無駄な話をしようとせずに、持参したカバンを開いて筆記用具を取りだした。
「数IIの中間テスト対策からでしたよね」
黒い小さな筆箱。
小さくくしゃみをして、すみません、って言った。
「イドンヒョク…」
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作者名：ユン | 作成日時：2021年9月28日 14時
