◆2◆ ページ26
はいっ、
って、迷わず挙手した。
「ヘチャン、ロンジュン、手伝って」
はーい！って元気に返事して立ち上がる二人。
あれ、って呟いたけど、三人は連れ立って研究室を出て行こうとしてる。
「あ、ちょっと、Aさん？」
声をかけた。Aが振り向く。
「なに？」
「俺も行こうか」
「やるって言ってた分終わったの？」
「もうすぐ」
じゃないけど、ちょっと言ってみた。
「二人が暇だって言うから雑用手伝わせてるの。マークに苦労かけるほどのことじゃないよ」
「でも、二人にそれ、読ませるんでしょ？難しい単語も出てくるし基礎知識が無いと大変だし」
「昔物理学の塾に通わせてたから基本は知ってる。飲み込みが早いし、なんとかなると思うよ」
なるなる！ってヘチャンが嬉しそう。
「じゃあ…もう行っていい？」
瞬きするA。
勢い余って立ち上がったけど、割り込む術が見つかってない。
とりあえず机の上の筆記用具と資料を全部まとめて、腕に抱えた。
「気分転換したいから出てみる。隣に座るだけで、邪魔しないよ」
「…そう？好きにしていいよ」
許可が出た。
ロンジュンに続いて研究室を飛び出す。ヘチャンの肩を押しのけてAの隣に割り込む。
研究室から出るとすぐに、見覚えのある顔がこっちに向かって歩いてくる。
「あ」
「あっ」
ビリーだ。
そのまま通り過ぎる訳にもいかず、立ち止まるA。
「研究室に何の用？」
ヘチャンがAの前に出て、誰よりも早く口を開いた。
笑ってない。敵視してるみたいに。
「ただ事務連絡に…てかこの子供誰？なんで高校生がここにいんの？」
ビリーが眉をひそめる。
ビリーとのことへチャニ達に言ったの、ってヒソヒソ声でAに尋ねたら、Aは首を横に振った。
ヌナの敵対勢力はいち早く感知するシステム？
「たかが事務連絡のためにビリーが？」
Aが怪訝そうに呟いた。ビリーが腰に手をつく。
「生徒会の活動に来れなくて退屈してるかと思ったけど、賑やかで楽しそうね。まああんたに用なわけないんだけど」
「マクヒョンに会いに来たって無駄だよ。彼女持ちだし。ヌナと付き合ってるの」
またヘチャンが口を挟んで、じとっとAに睨まれてる。
「は？子どもは黙ってて。嘘つき」
「嘘じゃないし。誰が子どもだ」
言い返すヘチャンを軽くひと睨みした後、
俺を見て、にこっと口角を上げて、ハイマーク、って指をひらひらさせるビリー。
そのまま俺の片腕にするっと掴まる。
「今日はマークに朗報なの。ジョージア工科大の先生から直々にお呼び出しよ」
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作者名：ユン | 作成日時：2022年10月19日 8時
