◇8◇ ページ23
出店の前でヤンヤンとアイスを舐めてたら、地元の中学生たちにビーチボールバレーに誘われた。
聞くと出身が本当に大学の近所だったので、ヤンヤンが快くOKして、私まで一緒にコートに立たされた。
中学生たちは元気いっぱい。負けじとボールを打ち上げるヤンヤンまで中学生に見えてきた。
波の音と一緒に、ボールが空へ舞った。
中学生たちが飾りに付けたひもが、一緒になってふらふら回る。
ひもは、伸びて、重なって、
ひとつになって。
一瞬、混じりあって、全部のひもが同じ方向に揺れた。
ボールが落ちる。
「A」
ネットの向こうからヤンヤンの声。
きらきらカラフルなビーチボールが、こっちに勢いよく向かってくる瞬間、
私は何も出来ず、そこに立ち尽くした。
そのまま脳天に激闘。
視界が一瞬真っ白になって、目を閉じる。
周りの子達の叫び声を聴きながら、砂浜に背中から倒れた。
「A！」
もう一度ヤンヤンの声。
目を開けるといっぱいに青空が広がっていて、ネットの向こうからヤンヤンが駆けてくるのも見えた。
「A、大丈夫？何してるんだよ、ぼーっとして。避けないと」
焦点が定まらない視界を、ヤンヤンは不安そうに覗き込んで、
手を広げて揺らしてみたりして、青空をさえぎった。
「立てる？A、ジャニ達を呼んでこようか？」
「ヤンヤン」
全くどんくさいなあ、ってため息ついてるヤンヤン。
砂に手をついて体を起こした。
「帰らないと」
「……えっ？」
立ち上がる。
背中に入った砂が汗と混ざって少し気持ち悪いけど、そんなことはどうでもいい。
皆がいるパラソルの方にまっすぐ歩いた。
唖然としてたヤンヤンが走って追いかけてくる。
「A、何なの急に」
「ジェヒョン」
ビーチベッドでうとうとしてたジェヒョンが、はっと体を起こしてこっちを見る。
「…どうした？A、顔に砂が」
「帰らなきゃ、今すぐ。車を出して」
「はっ？」
周りのヘチャン達が、不思議そうにこっちに振り向いた。
「急にどうして…体調でも悪いの？」
ジェヒョンの隣に寝そべってたマークが立ち上がって、私に駆け寄った。
「早く計算を書き留めないと忘れちゃう」
「え？」
「マーク、全ての物体を構成する素粒子を、極限まで拡大すれば、糸の束になるんじゃ？」
空中に横戦をなぞる。
「円形じゃない。丸い形は不安定で、それ自体変化しにくい。糸だったら、自由に集まって、絡まって、丸くなって、形を作る」
周りのみんなが黙って、私を見つめていた。
「…今…ひらめいたってこと？」
ジェヒョンがそっと呟く。
頷いた。
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作者名：ユン | 作成日時：2022年10月19日 8時
