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真上の太陽が傾き始める。
『音楽があなたの耳を醒まします。101.3MHzでお聞きの皆さん、ニーハオ、アンニョン、こんにちは。アクドン・ソウルへようこそ。DJ C.ZHONGです』
研究室の段ボール箱から引っ張り出してきた、古いラジオ台が、少し震えがちな音を放つ。
俺たちはパラソルの下の円卓に座って、頬杖をついたり、コーラを飲んだりして、そのラジオ台を囲んでいた。
『こちらは8月15日夜23時のソウルからお送りしています。みなさん、暑い夏をいかがお過ごしですか？海や山へ遊びに行きましたか？それとも、きんきんのクーラーが効いた部屋でのんびり？さて、僕は』
やば、って向かいに座ったヘチャンが呟く。
その手には黄色い果物みたいなものが乗ってる。
「うますぎる。これ誰が持ってきたの」
「テンだよ。やばいよね」
そうヤンヤンが、サングラスをしたテンを顎で指す。
「何それ？ドライフルーツ？」
机の中央に置かれた緑のパッケージにロンジュンが興味津々。
気付いたらテン以外のみんなが口をもぐもぐさせてる。
「ドライマンゴー。うちのじいちゃんがフィリピンに工場を持ってる」
テンが言った。
ヤンヤンとジェヒョンは手から黄色いものが無くなると、我先に緑の袋に手を突っ込んでる。
「めちゃくちゃうまいよ。食べた方がいい」
ジェヒョンに言われるままロンジュンが一口かじって、目を見開く。
「おいしい」
「だろ」
「普通のマンゴーよりうまいよな」
ヘチャンが言いながらテンを見た。
「なんか製造方法が違うの？それとも元のマンゴーがいいやつ？」
「ただの天日干しで作ってないから。こう、特別な機械に並べて入れて」
テンが指で目の前に四角を描く。
「中の空気を抜いて真空にしてから超高音で熱するっていう。中の甘みが蒸発せずに残るから美味しい」
「はあ、これは今後アメリカ中を席捲してもおかしくない」
「テン、これちゃんと特許申請した方がいいよ。おじいちゃんに言っといて」
ジェヒョンとヤンヤンが口々に褒め称えて、テンがりょーかーい、ってのんびり言ってる。
テンはそもそも果物が嫌いだし、ドライフルーツもそこまで好きじゃないらしいけど。
「これをソウルのDJ ZHONGに差し入れしたんだよ」
って言うジェヒョンの横で、早くもひと袋無くなって、もっと無いのーってヤンヤン達が騒いでる。
「食べてもらえれば絶対メールが読まれると思って」
賄賂だ、ってジョンウが肩を竦めてる。
ジェヒョンが鼻で笑って、DJの声を流すラジオ台をそっと指さした。今はちょうどお便りのコーナーに入ったところ。
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作者名：ユン | 作成日時：2022年10月19日 8時
