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「俺が…無理して会いに来てるだなんて言った？A、まだ俺に不満があるんでしょ。正直に話して」
「…そういうんじゃなくて…良い成績を取るのにもそれだけで困らないくらい、人に好かれてるんだよマークは」
数秒停止。
してからマークが、眉をひそめて口を開く。
「そういえばディベート大会の噂だけど」
「うん」
「審査員に抗議のメールを送った？」
「…」
「本選では公平な審査をするようにって」
「…バレてた？」
「やっぱりAでしょ」
弱くため息を吐き出すマーク。
「また無茶して。審査員が俺びいきだと思ったの。そんな噂でもあった？」
「…たまたま好かれてたからよかったけど、本選でマークを超えるようなイケメンが居たとしたら、マークが不利になるかも」
「先生に喧嘩売るような真似したら、後で大変なのはAでしょ」
でも送るのはただじゃん、って言い捨てた。
「能力でマークが誰かに劣るなんて絶対無いんだよ。マークは優しいけど、世の中には理不尽な人が沢山いるんだから」
肩を小さく落とすマーク。
その肩に桜の花びら。
「小さい頃からそうなんじゃない」
「え？」
「小3の時、小6の男の子に俺が虐められたからって、スコップ持って追いかけ回してた」
…そんなことあったかしら。
「俺を守ろうといつも躍起になってる。扁桃炎だって、俺が落とした学生証、夜まで探し回って風邪ひいたからじゃ」
「…たまたまだよ」
「それで入院なんてはめになる位弱い子なのに」
マークが首を横に振る。
「窮屈だなんて、寝言のつもりでしょ」
「…ひどい、真剣に悩んでるのに」
「そんな事悩む暇あったら、身の振り考えてよ。心配で目離せないの、そのうち恨まれて仕返しされないか」
つらそうに眉をひそめて、
私の手首を引くと、片腕で抱き寄せた。
マークの肩が目の前。風に飛んでいく花びら。
「…子供じゃないんだから」
「Aしか見えないのに」
空高く。じっと目で追った。
「俺が哀れだと思ったら、もう適当な言葉で否定しないで」
「…何を？」
「付き合ってること。分かってるくせに」
少し顔を上げたら、
マークが私に体を押し付けて、視界が首すじに埋もれた。
「もうやめてよ。『幼馴染』、いいように使うの」
気付けば少し大人びた君からの忠告。
手のかかる幼馴染じゃなくて、母親同士が友人のお見合い相手じゃなくて、
他とは違う女の子だって、見てくれるのかな、私の事。
全部あなたみたいに、素直に言えたらいいのに。
＊
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作者名：ユン | 作成日時：2023年3月11日 21時
