君の五臓六腑まで愛してる (ページ24)

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なんか終わらない気がして、はあっ、って大きなため息をついた。

「それで？私にどうその罪を償えって？」

じっと私を見るキムドヨン。
近くのパクチーの袋を手に取って、私の籠に入れた。
それから、2袋、3袋、4…

私の嫌いなパクチーが。

「飲んだくれめ。しばらく野菜だけ食べて反省しなさい」

私の空っぽだったカゴが、あっという間にパクチーまみれに。
絶句しそうになったけど、平然を保った。

「…分かった。これで許してくれるのね？」
「…」
「…まだあるの？」

思ったより根強い恨みだったらしい。

「…思い切って…1発殴る、とか？」

迷わず伸びてくるキムドヨンの手。
はっと1歩後ずさりして、固まった。

「…1発だけね？約束して…」

目をつぶって、意を決する。

でも次の瞬間、頬がぴーんと引っ張られた。

微妙に痛い、っていうか、むず痒い。

「減らず口」

キムドヨンは不満そうに、私の片頬をつまんで、伸ばしてる。
ぐりぐり、って力を込められて、やっぱり少し痛い。

指が離れると、ヒリヒリ感が残った。
それからさっとレジの方に向かうキムドヨン。
他に行き場も無く、食欲も失せて、私もレジへ向かった。

会計を済ませてスーパーの出口に向かうと、キムドヨンの背中がある。

「待ってたの？」

振り返る、ふてくされ顔。

「夜中に1人で出歩くなよ」

家まで送ってくれるらしい。
パクチーの詰まったエコバックを肩にかけ直した。

静かな夜だった。

並んでコンクリートを蹴るのは久しぶり。

「私を恨んでもいいけど」

ちらっと隣を見る。

「やけ酒はやめなよ。柄にもないし…」
「…だからサイダーだし」
「…まあいいけど…私のせいで自分のこと苦しめないで」

キムドヨンがそっと私の方を見る。
咄嗟に目を逸らした。

「分かんなかったよ、気持ちなんて」

「…え？」
「飲んで全部忘れようとか言うけど。いくら飲んでも、あの日のバカAみたいに、楽しい気分にはならなかった」

「…失恋したら」

呟く。

「一日中寝て、飲んで、失恋ソングとか聴いて浸るタイプでしょ」
「悪いの」

またふてくされてる。

「『嘘』とか聴いた？」
「聴いた」
「『ヘイト・ユー』は？『11：11』は？」
「全部聴いた」

さすが、とか、言いかけた。

「Aはなんにも変わってなさそうだけど」
「あんたが変わりすぎなんだと思うよ」
「変わってみようと思うだろ普通」
「結果全然変われてないけどね」

分かりやすくむっとしてる。
ごめん、って少し笑った。また罪を増やしそうになる。