君の五臓六腑まで愛してる (ページ3)

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英語のディベート大会は、3年の今年がラストチャンス。

英語力なんてマークには到底かなわないけど、自分なりに努力して校内での選考会に臨んだ。
手ごたえはあった。でも私の付き添いでエントリーしたマークだけがメンバーに選ばれて、私は落選した。
後に聞いた話では、予選を見てくれたOGの先輩がマークのファンで。私は嫌われてたみたい。

「Aが出ないなら俺が出ても仕方ないよ」って。本人は純粋にそう思ってるんだろうけど、
私にとっては惨めな励ましでしかない。
いつもにマークの陰で満足することを強いられてきた気がする。そのことで昨日ちょっと喧嘩して、
入院することになったのがその直後。

「勉強も運動もなんだってできるの」

カーテンの向こう、チョンロのベッドの方を見て言った。

「それに性格よさそうだった」

そう声が返って来る。

「鈍いのよ。扁桃炎ごときで誰が落ち込むと思う」
「人にすぐ彼と比べられることが悩み？」

しゃり、しゃり、って聞こえる。まだりんご食べてる？

天井を見て、小さくため息。

「ううん。そんなこと、中学の時にはほとんど割り切ってた。今は、あの子が、このまま素敵な恋愛の楽しさを知らずに死んでいくことだけが哀れなの」

可愛いモデルとか、綺麗な女優さんとか。
その隣に立ったって映えそうな、かっこいい幼馴染だ。

「四六時中地味な幼馴染の面倒見てさ。他校のマドンナからの告白を断ってるのかと思うとつらいでしょ」
「好きでやってるのかもよ。さっきも心底君のこと心配してるみたいだった」

そもそもさ、って布団をがさごそ動かす音。

「親に言われたとか、幼馴染だからって理由で、彼、君にそんなに執着するの？」

理由は？って聞かれた。
理由。

「よく分からない。あの人変わってるから。ただ、私を守る使命なんかがあると思ってる」

本当に大会への出場を辞退するつもりなんだろうか。優等生の名誉なのに。
審査員があんたびいきで、なんて責めようものなら、審査員に直談判してみるなんて言い出しそう。

単純だけど、優しすぎて、かえってつかみどころがない。
当たるに当たれないし、さっきみたいにへそ曲げるくらいしか。

「愛されてるなら、しめしめと思ってればいいのに。なんだよ、結局贅沢じゃん」

チョンロの間延びした声。

「私はマークに分かってほしいだけなの」
「出てく時、切羽詰まったような顔してたよ。彼のプライドを傷つける発言にならなきゃいいけど」

思わず口を噤んだ。私が本当に言いたいのはそんなことじゃないって、自分でも気付いてる。