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我々の活動内容といえば、
朝の登下校中、悠太くんが交通事故に遭わないよう後方を歩いて見守ったり、
昼休み、人気のジュースが売り切れないように購買で在庫確保をしたり、
数学の先生に当てられそうになったら手を挙げて、その注意をそらしたり。
断じてストーカーではない。断じて。
そういえば活動が本人にばれそうになったこともあった。
「A」
たったっ、って軽い足取りで、校庭にテヨンが駆けて来る。
「Aの担当ここじゃないでしょ」
「悠太くんが今日落ち葉掃きの担当だから。先に来て仕事減らしておくの」
私の手には外用のほうき。
そっか、ってテヨンが頷いた。
不意に悠太くんが、中庭に向いた窓から出てきたのは、その直後だ。
目が合って、どきっとした。
悠太くんは目を見開くと、すぐにテヨンに目を移す。
「テヨンア、どうしてここに？見てきたけどお前今日第一体育館だったよ」
「ん、そうだっけ？じゃあ間違えたんだ」
テヨンは私の手からほうきの柄を取ると、悠太くんに手渡した。
悠太くんは小さくお礼を言うと、テヨンの肩を軽く叩く。
テヨンに言われるまま駆け足で中庭をあとにした。
「き、緊張した」
「ユタ今日もイケメンだったねー」
「でもさテヨン、悠太くんってもしかして私にちょっと冷たいかな？」
校舎の周りを2人で歩きながら、つぶやく。
「さっきも、私のこと見えてないみたい。昔は目を見て名前呼んでくれたのに…」
「それは、俺たちが付き合ってるからじゃない？」
「え？誰と誰が？」
「俺とAちゃん」
けろっと答えて、足元の小石をぽーんって蹴とばすテヨン。
「…付き合ってないよね？私たち」
「ユタはそう思ってるはずって話だよ、人の彼女だからなれなれしくしないようにしてるの」
「なんで」
「クラスのみんな思ってると思う。俺たちずっと一緒にいるもん」
登下校も、勉強会も、掃除の時間も一緒だけど。確かに。
でもそれは会員同士だから。
「…会員同士だから…って、悠太くんに弁解する？」
「ユタちんぷんかんぷんでしょ」
「でも誤解されたままだとさ」
「不都合ある？」
私は、
悠太くんの健全な学校生活を守りたいだけで、彼女になりたいとか、おこがましいことまでは考えていなかった。
「…ないけど」
今となっては、そういう問題か？
「じゃあ悠太くん以外には伝えとく？」
「俺は別に平気だよ」
「あ、そっか…」
変な相槌で、私は色々と深読みしては黙ってしまったのに、
テヨンは隣でのんきに、ずっと鼻歌を歌ってたな。
私たちの関係がそれまでと別方向に進み始めたのは、確かその頃。
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作者名：ユン | 作成日時：2023年3月11日 21時
