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「ジェヒョン君」
その肩を揺さぶった。
周りに人も増えてきたというのに。
まぶたを閉じかけているジェヒョン君が、ぐらぐら揺れて、
私の肩に頭を乗っけた。
「…ジェヒョン君、私の事バカにしてるでしょ」
「実はAも酒臭いよ。二日酔いふたりだ」
「話聞いてよ」
「今日飲んでくれないと嫌だ」
ぐりぐり、肩の上で頭振ってる。
「やめてってば」
腕に力を込めて、ジェヒョン君を突き放した。
講義室は堂々喧嘩できる雰囲気じゃない。仕方なくジェヒョン君の手を取って、引き摺って、講義室を出た。
「Aー、この時間開いてる居酒屋まだ無いって」
たらたら頭を振りながら付いてくるジェヒョン君。
「行かないってば、ジェヒョン君飲み過ぎだよ」
「じゃあボウリングにでも行く？」
「もう…」
「授業さぼってさ。映画見て、飯食って、そのまま酒」
よっこいしょ、って、
ジェヒョン君は私の両肩に自分の腕をのっけた。
ぼさぼさの前髪の向こう、大きな瞳を優しく細めてる。
「彼氏なんて要らない」
「…ねえってば」
「一生俺と遊んでよう。誰から見ても仲良しでいて、クソみたいな男が寄ってこないように、死ぬまで」
「ジェヒョン君は毎日好きに遊んでるのに、何で私は同じことしちゃいけないの？勝手言わ…」
ジェヒョンは私の言葉の途中で、俯いて、おえって喉を鳴らした。
「ちょ…ここで吐くのやめてよ？」
「きもちわるい」
「あっ、あートイレ行こうトイレ、ほら」
私の肩にずるずる乗っかるジェヒョン君。
歩き出そうとするけど重すぎる。
「しんでも嫌だよ、そんなの」
耳元で囁くジェヒョン君の声。
「しばらく女と寝れなくなったらAのせいだ」
「…知らないし、意味わかんない」
肩の重い手を振り払おうとする。
でも離れてくれないジェヒョン君。酔いすぎ。呆れてきた。
「どんだけ飲んだのよ…」
「A、クソ男の連絡先消して」
「はいはい」
「バカみたいに好きなのに、傷つけたくなくて抱けないの、マジメだよね」
Aは一生知らなくていいけど、って呟いてる。
「Aのぶんを他の女の数で埋めてる、『大切すぎる親友』でしょ、俺って」
私の両肩に回した腕。ジェヒョン君の香水がふんわり香った。
「この片思い、まだ続きそうだよね。あとの話は酒飲みながら…」
「…」
「…」
「…えっ、ここで寝ないでよ？」
慌ててジェヒョン君の肩を叩く。
「A、ここ落ち着く」
私の肩の上で、子供みたいに寝ぼけた声。
言いたいだけ言って、もう私が責められないの、ずるいよ。
＊
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作者名：ユン | 作成日時：2023年3月11日 21時
