君の五臓六腑まで愛してる (ページ13)

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『そっちもう終わり？』
『こっちこれから5限だ』
『ヤダー』
『……』
『あ』
『この前借りてた1200ウォン返す』
『ㅋㅋ』
『って口実で』
『飲もうよ今日』

とめどなく送られてくる。

『俺今結構かわいいこと言った？』

画面を見ながら思わずふふって笑う。

『暇？』

追いチャットも。なんか暇そう。

『ごめんㅠㅠ今日別の約束』

とりあえずそう返した。

『おけおけ』
『CT大の友達？』

『ううん』
『紹介で初めて飲む』
『ㅎㅎ』

タイプの早いジェヒョン君が、そこで15秒くらいの間。

『男ってこと？』

YES！って犬のスタンプを貼った。
ていうか、ここで悠長にしてられない。

『急ぐねㅎㅎまた〜』

友達からは、いっつも会ってんのにチャットでも会話してんの、よく話続くね、って言われがち。

スマホを閉じて急いで家に戻って、出かける支度をした。
ちょっと緊張しながら、ちょっとわくわく。

新しいピアスをつけて外に出る。
いい人だったら万々歳だし、失敗したら笑い話にしよう、くらいの気持ち。

まだ肌寒い春の夜。
ちょっと大袈裟にコートを着込んで、家の前で先輩を待つ。

約束の時間を過ぎても、先輩は来なかった。
通りをきょろきょろ見渡していたら、私を誘ってくれた友達から電話。

今日の集まりの幹事が来れなくなった、って話だった。

『ドタキャンでさ。それに怒った男子と口論になって、飲み会どころじゃなくなって。先輩もいまその喧嘩に巻き込まれてるところなの』
「急にドタキャンって、どうして？」
『よく分からないんだけど、別の用事ができたとか』

はあ、って友達のため息。

『ごめんねA、せっかく時間作ってもらったのに…』
「そっちが謝ることじゃないよ」
『どうせなら今日はうちらで飲まない？約束の店で』

その提案を承諾して、電話を切った。
そんな事もあるのかな。縁がなかったんだろうか。

外はもうすっかり暗い。
通りを1人でとぼとぼ歩きながら、街ゆく人を目で追った。
街灯の下に、どこか見なれた後ろ姿があった。

それが、親友が今朝着てたジャケットだと気付いて、はっとした。

ふとこっちを見て、
私の顔を見て、目を見開く顔。
女の子の腰に回した白い手。

その女の子は、今日友達から写真を送ってもらっていた、
飲み会の幹事の先輩。

ジェヒョン君の胸に体を預けて、抱き着いてる。
体を引きずるように強く。
そのたびに小さく揺れるジェヒョン君の体。

なにそれ。

頭が真っ白になって、
一瞬でジェヒョン君から目を逸らした。

なにあれ。どういうこと？

何も考えられず、ひたすら歩いた。