君の五臓六腑まで愛してる (ページ12)

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親友として、そんなジェヒョン君を否定したいわけじゃない。
恋愛はその人の自由だし、お互いの同意を経た行為だし。

信頼しきった友達だからこそ、最初は戸惑った。
私といる時のジェヒョン君は優しくて穏やかで、
女の子にビンタされてる所なんて全く想像がつかない。

でもジェヒョン君は、交友関係を私に隠そうとはしない。
だから私も考えを改めてみようって、何度も考えたことがある。
1度にたくさんの女の子を愛せる意味がわからないなんて、そんな考えを。

長らく無理だったけど。

さっきの子みたいに、色んな子にヒソヒソ言われる。

いつもジェヒョン君と一緒にいるのに、って。

「そうだよ。抱かれたことないよ」

スマホを耳にぴったり当てて、愚痴を吐き出す。

「悪いの？だって友達だもん、1晩限りの関係と一緒にしないでよ」

『ヤー、今そこ公共の場でそんな話してないよね？』

ふん、って鼻息を吐き出す。
学校近くの交差点だけど、人は周りに居ないのでセーフ。

たまに私でもイライラして、こんな風に、口の固い女友達に吐き出すこともある。
ジェヒョン君を悪く言ってるような気もしてきて、大方こらえるようにしてるけど。

「…私間違ってるかな？」
『間違ってはないよ。私のサークルにも何人かいるよ、体の関係だけでもいいって人』
「…低俗だよ」

はは、って明るい笑い声。

「…女の子達の気持ちも分からないけど、…ジェヒョン君の気持ちも分からない」

他のことなら何でも手に取るように分かるのに。
うーん、って友達は唸る。

『それくらいの恋を経験してみないうちには、何とも言えないよね。A、チャンスを掴んでみる？』
「…えっ？」

信号が青になった。

『ゼミの先輩なんだけど、彼女と別れたばっかで気落ちしてる。良かったら会ってみない？Aと話合いそうなんだよね、イケメンだし優しいし』
「…ほんと？…悪くないかも」
『思い立ったら今日、会おうよ。ちょうど集団で飲む約束しててさ。先輩の家Aのアパートの方向だから、待ち合わせして一緒においで』

ね、ほら、って、丸め込まれて、
満更でもない気持ちで、OKした。

電話を切る前友達は言った。
あんた達割り切ってるなら、いつかお互いを卒業しなきゃいけないよ、あっちが先に卒業した時のために、期待しすぎちゃダメ、
って。

ジェヒョン君、卒業か。

ちょうどスマホを見たら、ジェヒョン君から何件もチャットが来てた。
返信が遅すぎると話題のジェヒョンくんのチャットだけど、私のにはすぐ既読をつけてくれる。ちょっとした自慢。