タバコの味 ページ38
仮想恋愛終了二日前。
どうしても外せないシーンの撮影で、Aは収録スタジオにいた。
怒鳴り続けたおかげで、多少マシになってきた新人の演技を腕を組んで見守る。
雪『もう立派に大御所ね。』
新人を見守るAの姿が、いつかの大御所女優とだぶって雪はクスッと笑う。
A『やめてよ。そういう事言うの。私はまだまだ発展するわよ？』
Aは雪を見てニヤッと口元を緩めた。
A『こんなところにいていいの？』
ふとAが聞く。
雪『こんなところって何よ。私はあなたのマネージャーなのよ？』
A『今は違うでしょ。』
真っすぐセットの中で繰り広げられるシーンを見つめたまま会話が進む。
雪『ウォンさんが来てるわ…。だから心配いらない。』
その言葉にAはハッとして雪を見るが、すぐに視線をセットに戻した。
迎えに…
来たんだ…
ドンヘを…
一瞬で集中出来なくなる自分が嫌でAは雪に手を出す。
A『タバコ持ってる…？』
雪はAの顔を見る。
雪『やめてたのにまた吸うの…？』
A『うるわいわね。ちょうだい。』
雪はAの手に鞄の中から取り出したタバコとライターを乗せた。
A『ちょっと外すわ。』
そう言ってAは一人静かにスタジオを出た。
いつものように勝手口から裏口へ出る。
すれ違うスタッフがAを見て頭を下げて声をかけていく。
Aはそれに笑顔で答えた。
今日も青々と広がっている空。
Aはタバコを一本くわえると、ライターで火をつける。
揺れる煙を見ると深く吸い込んだ。
壁に頭をつけて、風が雲を凄い早さで運ぶ空を見ながらゆっくり吐き出す。
A『まっず…。』
暫く吸っていなかったタバコはどんな味かよく分からなかった。
Aは裏口の隅に置いてある灰皿にタバコを押し付ける。
もう終わる…
この生活も…
仮の恋愛も…
いつもの私に戻る…
ただそれだけだ…
カメラの前と…
セットの中が現実の私に…
自分に何度も言い聞かせる。
押し付けたタバコが、張ってある水に揺れていた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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ゆちょみん(プロフ) - >はるちょるさん いつもコメントありがとうございます＾＾ いやぁ…大げさですが嬉しいです/// (2012年7月15日 8時) (
レス) id: e0d8d6d975 (このIDを非表示/違反報告)
はるちょる(プロフ) - 感動感動です！本当ゆちょみんさんの作品は素敵です！大好きです！ドラマ化してほしいです^^できます！！！でも、自分役の人に嫉妬しちゃいますね(笑) (2012年7月15日 1時) (レス) id: 585b654a98 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - >うーたんさん いつもありがとうございます＾＾ アメブロの方が皆さんアクセスしやすければ戻してもいいのですが…。まだ続きますが、次回作も書いている最中です＾＾ (2012年7月15日 0時) (レス) id: e0d8d6d975 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - >みやもさん コメありがとうございます＾＾ 読んでくださって嬉しいです♪最後まで見守ってあげてくださいね！ (2012年7月14日 22時) (レス) id: e0d8d6d975 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - >まおさん 切ないのはゆちょみんのお得意コースですからｗｗ (2012年7月14日 22時) (レス) id: e0d8d6d975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作成日時：2012年7月12日 10時
