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「……今回の取材は以上になります。貴重なお時間をありがとうございました」
「いえいえ。こちらこそありがとうございました」
「ありがとうございました」
その後もいくつか際どい質問を受けながらも和やかな空気のまま終わらせることが出来たことにほっとしていると先に椅子から立ち上がった山田に手を差し伸べられた。
「ほら、行くよ?」
「……引いてって」
「無理だから!!」
よっこいしょ、とおっさん臭い掛け声とともに勢いよく俺の腕を引き立ち上がらせてくれた山田にそのまま全体重を掛ければ一緒に倒れ込みそうになり、慌てて腕を離す。
やっぱり山田には無理だったな、と反省しながら楽屋へ向かい歩き出すと廊下ですれ違ったスタッフさんの肩が濡れていることに気が付いた。
ってことは……、
「ねぇ、今日って雨降る予報だったっけ」
「確か夕方から雨じゃなかった?」
「マジか」
家を出る前に天気予報を確認している余裕なくてなくて、そこらへんにあった鞄にいつも持ち歩いているポーチと財布だけ詰めて飛び出てきた。
なので当然折り畳み傘なんて持っていなくて、さてどうしようと思いながら私服に着替え、駅までダッシュしようと結論が出たところでふいに呼び止められた。
「なんだよ」
「実は次の現場まで時間あってさ。俺の傘貸してあげるからちょっと付き合ってよ」
ほら、と見覚えのある折り畳み傘を鞄から取り出した山田に一瞬迷ったものの、別にこの後何が用事がある訳でもないのも事実だ。
雨宿り……にはならないけれどまぁいいか、と頷けばこの近くにずっと行ってみたいと思っていたカフェがあるとの事でそこに行ってみることになった。
「てか、なんで傘2つも持ってんの?」
「この前薮ちゃんに貸してあげたのがたまたま今日返ってきた」
「ふ〜ん……」
雨が降ってきたせいか夕方にも関わらず並ばずに入ることが出来たカフェはどうやらパンケーキが名物らしく、これが食べたかったの!!と瞳を輝かせながら注文する姿につい可愛いと思ってしまった自分は恐らく疲れているに違いない。
ちょっと落ち着こう、と頼んだアイスココアを1口飲み、満面の笑みを浮かべながらパンケーキを食べている山田の姿をスマホのカメラで納めていると突然着信画面に切り替わり、思わず声が出る。
「えっ……?」
表示されている番号は、もう消したと思っていたあの人のものだった。
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柚夢(プロフ) - やまありラブラブさん» やまありラブラブさん!ご無沙汰しております(^^)返信すごく遅くなってしまい申し訳ありません……!いつもコメント本当にありがとうございますっ。今年もたくさん書きたいと思っているので楽しみにしていただけると幸いです!今年もよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年2月7日 1時) (レス) id: e7612f0310 (このIDを非表示/違反報告)
やまありラブラブ(プロフ) - 完結おめでとうございます。こんな感じのやまありも、大好きです。新作も、連載中のお話も、楽しみにしています。来年も、頑張って下さい。応援しています。 (2018年12月31日 20時) (レス) id: 556ce3724e (このIDを非表示/違反報告)
柚夢(プロフ) - やまありラブラブさん» やまありラブラブさん!!いつもコメントありがとうございます(>_<)今までとは違うテイストのやまありが書きたくなってつい始めちゃいました(笑)こちらも楽しみして頂ければ幸いです(^^) (2018年11月12日 22時) (レス) id: e7612f0310 (このIDを非表示/違反報告)
柚夢(プロフ) - yuriaさん» yuriaさん、初めまして!コメントありがとうございます、柚夢と申します^^続きも頑張って書いていこうと思っているので最後までお付き合いして頂けると幸いです。今後もよろしくお願いします(>_<) (2018年11月12日 22時) (レス) id: e7612f0310 (このIDを非表示/違反報告)
やまありラブラブ(プロフ) - 新しいやまありのお話楽しみです。此方の方も頑張って下さい。 もう一つのやまありの続きも、楽しみにしています。 (2018年11月10日 21時) (レス) id: 556ce3724e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚夢 | 作成日時:2018年11月10日 20時