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「だぁー、きっ!!」
「……う゛っ……!??」
先程からぼんやりと意識はあったものの、重たい瞼をなかなか目を開けられずにいると突然何かが腹の上に飛び乗ってきた。
その衝撃に一気に目が覚め、……というより驚いて目が開き上半身を起こせば大きな瞳がじっとこちらを見つめていた。
はぁ、と小さくため息をつきながらまだまだ小さくて軽い体を抱き寄せればきゃあ!と楽しそうに笑いながら胸元に頬を擦り付けてきた。
「葵、」
「んぅ……?」
甘えるその仕草は単に寝起きだからという訳ではなさそうで、やはり寂しい思いをさせてしまったのだなと胸が痛む。
今日はなるべくとそばにいようと決め、優しく髪を梳いてやるとニコニコしながらこちらを見上げてきた。
ツン、と柔らかい頬をつつき、"おはよう"と微笑めばきょとんとしながらも"はぁーよ!"と口を動かす姿が可愛くて仕方がない。
最近では少しずつお喋りも増えきて、いつの間にか俺の名前を呼びながら後をついて来るようにまでなっていた。
「あ、おはよう」
「……おはよ、」
1秒たりとも離れようとしない葵を仕方なく抱き抱えたままリビングに入ればキッチンに立っていた山田が俺たちに気付き、お盆にマグカップとグラスを乗せてこちらへと歩いてくる。
そこに座って、と促されたテーブルの上には美味しそうなサンドウィッチが置かれていて、俺にはカフェオレ、葵にはオレンジジュースを用意してくれた山田に思わず感心していると苦笑いされた。
「ごめん、冷蔵庫の中ほとんど空っぽでこれぐらいしか作れなくて。ご飯の方が良かった?」
「えっ!?あっ、違くて!朝からこんなに豪華なご飯なの久しぶりだなって思っただけだからっ」
家ではほとんど水以外のものを口にすることはなかったし、食パンをこんなふうにして食べた覚えもない。
離乳食だけは仕方なく買っていたけれどそれも早々に卒業させてしまい、食費を抑えるためにうどんばかり食べさせていた。
「えっと……、葵くん……?も食べれそう?よくわからないからとりあえずジャムサンドにしちゃったんだけど」
「それは大丈夫、だけど……」
ホントに食べていいの?と山田の顔をそっと覗き込めば"少し出かけて来るからこれでも食べて待ってて"と言われてしまい、何も言えなくなる。
いただきます、と膝の上に乗せた葵の手を合わせ一口サイズに切られているそれを口に入れてやると途端に瞳が輝いたのがわかった。
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のん - はじめまして! 小説拝見しました! とっても心温まるお話ですね!そしてとってもキュンキュンします! 次回の更新を心よりお待ちしております! (2021年4月13日 17時) (レス) id: cf51685787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚夢 | 作成日時:2019年1月23日 21時