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「小さい頃は、自分が姉であることに浮かれ、『お姉ちゃんが悪いやつやっつけてみせしょう』といった感覚で柔道を習いました。後悔はありませんし、皆様を悪い奴から守ることができるので、あの頃のわたくしに感謝ですね。しかし、悪者から皆様を守りたいのも事実、たとえ相手が悪者であろうと、笑顔にしたいのもまた事実。全てこなさなければならないのが、アイドルの辛いところですね。……失礼。しかし、大丈夫です。なぜなら、わたくしはアイドルですので」
「こら、そういったことをしてはいけません。いいですか、廊下を走るなどの行為は、とても危険なのです。過去に、わたくしの友人Rさんは廊下で走り、転び、血を流しておりました。その後、保健室に向かい、痛い痛いと言いながら教室に戻ってきたのです。皆様にご迷惑をおかけしてはいけません、わかりましたか? ……わかったのであればよろしい、いい子いい子」
「『あいどるですげーむ』……デスゲームというのは、よくアニメでみますあれですよね。まさか、わたくしがやることになるとは。流石に『アイドルです。ゲーム』ではないでしょうし、どこか……ドッキリとしては、いささか変、といいますか………これはどういった対応をすればよいものなのでしょう」
「一体何を……落ち着いてください。わたくしは、あなたのその行動で、誰かが笑顔になるとは思えません。ですから……そうですか、わかりました。では、近づくのであれば、押さえます。皆様のためにも、わたくし自身のためにも」
「そんな辛い顔をしないでください。わたくしは大丈夫です。何度も言っているではありませんか、わたくしはアイドルなのです。アイドルは、人を笑顔にする仕事。わたくしは、どのような方でも笑顔にしたいのです。ですから、笑っていてくだい。貴方のような立派なアイドルに、そのような顔は似合いませんので」
「アイドルは誰かを幸せにするもの、そう今まで考えてきました。わたくしは、アイドルであったのにも関わらず、あなたを苦しめていたのですね。自分のことが嫌いになりそうです。……嘘ではなく、本当に。なんのためにアイドルになったのでしょう。………あの人みたいに……自分を知らない人でも、笑顔にするため。そうですね、簡単なことでした。わたくしは、あなたを幸せにします、最期まで。そのためにアイドルになったのですから」
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