鍵は水の中に

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水槽に着いていた傷が
被害者が着けていたダイヤの指輪で出来たものだと
証明するために私もマリンスーツに着替えた


真子さんや瑠璃さんが上から見守る中
瀬能が何度も繰り返すけど
傷に一致しないらしく2人のバツポーズが続いた


『力加減…だったりする…？』

「瀬能、代われ」


隊長が瀬能を押し退けて
指輪を思いっ切り引っ掻いた


その勢いで瀬能の顔に水が掛かった


でも、バツポーズになり
角度の問題でも無さそうだ


隊長が何度か続けた時
西野さんの叫び声が響いた


「隊長ーーー！！！」

「あー！！！1000万のダイヤが！！」


隊長が持つ指輪から
綺麗にダイヤだけが無くなっていた


「さ、探せ！」


隊長の言葉に
バタバタ潜って探し始める


〔ぱぱとままのゆびわ、すてき！〕

〔ぱぱが頑張ってくれたからね〕

〔ぱぱとままのとははめ込まれたダイヤのカットが違くてね〕

〔ちょっと、美凪斗さん、Aはまだ5歳よ
ダイヤのカットの違いなんて分からないわ〕

〔わかるよ！
ぱぱのはあぶなくないけど、ままのはあぶないね！〕

〔あら、誰に似たのかしら…Aは本当に賢いわね〕


ぱぱのは危なくないけど
ままのは、危ない…？


私は直ぐに水から顔を出して
隊長がダイヤを見つけたことを確認した


『隊長、もうその検証は辞めましょう』

「…」

『そもそも、多分これ…指輪が違います』


ズキズキと痛む頭を抑えながら
隊長にそう言うと
隊長もダイヤを見つめて頷いた


更衣室に入ってロッカーを開けた


ネックレスを見ると
父の指輪と母の指輪のダイヤは
やはりカットが違う


お互いがカット方を選んだから…だったっけ


〔いやだ！まま！いたい！いたい！！〕

〔大人しくして！お願い！〕

〔どうしてうでひっぱるの！いたいよ！〕

〔逃げなくちゃいけないの！お願い…A…！
お母さんのこと、恨んでもいいから…！〕


ズキンっ


頭が金槌で殴られたような痛みが走って
その場で蹲ってしまった


『ぁ…』


右腕を引かれる感触
母の背中と震えながらも必死な声


〔この指輪…Aが持ってて…おつかいしてくれる？〕

〔おつかいできるよ〕

〔そう…Aは賢いわね…本当に…私の可愛い娘だわ〕


最後に母に抱き締められた時
母の耳が目に焼き付いていた


〔ちょうちょ…〕

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