鍵は水の中に

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調べは進んでいくうちに
被害者は水族館で殺害されたことが分かった


今日は水族館プロデューサーの根岸那由の聞き込み


瀬能と隊長とで部屋に通され
椅子に腰掛ける


「実は先日、横浜の港で溺 死した遺体が見つかりまして」


隊長が被害者の写真を差し出し
この顔に見覚えはないかと尋ねると
根岸さんは少し動揺を見せた


「この人は、木見さんの婚約者なんです！」


木見一郎
先日、水族館に来た際
大きな水槽の中を泳いで餌を上げていたサプライヤー


サプライヤーってそこまで稼ぎ良かったっけ


1000万するダイヤの指輪が買える程
貯蓄があったということなのだろうか


「私達は、来月、結婚式を挙げる予定だったんですよ！？」


木見さんは写真を確認して
声を荒らげていた


そのまま海外移住、か


『被害者、高田和美さんは
あの大水槽で亡くなった可能性が高いです』

「え？」

『北海道に生息するプランクトンが肺から検出されました
その海水を使っているのは、大水槽だけなんです』


私は根岸さんの耳元に目が行き
そっと視線を外した


ダイヤのピアス


かなり大きなサイズ…
木見さんと根岸さんはもしかして浮気関係だった？
それで口論になり被害者と木見さんは
１ヶ月連絡を取ってなかったのだろうか


婚約者と１ヶ月連絡を取らないものだろうか


職場が同じなら有り得るのか


車に乗りこみ
私は頭の中で整理をしていた


『瀬能、隊長』

「なに？」

「なんだ」


瀬能が助手席から
隊長はミラー越しに私を見た


『婚約者と職場が同じだと
１ヶ月連絡取らなくても平気なんですか？』


質問すると
瀬能が何故か勢い良く吹き出し
隊長が笑った


「人それぞれじゃねぇか？」


笑いながらも答える隊長に
そうですか、と返してまた考える


隊長も真子さんとは結婚したけど
つい最近まで婚約者関係だったから
どうなのだろうと思ったけれど


〔新名正義はスパイだ〕

『(スパイって、なんのことなのよ)』


あの電話の声が頭を巡っては
自問自答の日々が続いている


「A、調子悪いのか」

『…あ、いえ』

「最近ボーっとしてるぞ」

『…恋ですかね』

「はぁ！？」

『嘘よ、アホ瀬能』


隊長と話すのは
心が暖かくなって好きなのに


最近はモヤモヤしてしまう


隊長がスパイな訳が無いのに

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