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「 飛貴… お前は、相変わらず浮所くんのことが嫌いか?」
『 えっ… 別に、、嫌いだなんて。』
「 隠さずともよい。お前の顔を見ていればわかる。兄弟のこともあるし…それも無理もないことだ。」
お祖父様…
『 そうですね… 正直言って、嫌いです。』
もうずっと前から…
雄登が現れる前から嫌いだった。
「 そうか。飛貴… 今すぐにとは言わん。だがいつか、浮所くんのことを、許してやって欲しい。」
『 許すって… どうして、お祖父様がそんなこと…』
「 …名家に生まれるというのは、いいことばかりではない。案外と不自由なものなのだ。結婚も家の為にせざるを得ない。」
『 そんなことわかってます。父と母が政略結婚だってことも。お祖父様は何が仰りたいんですか?』
「 政略結婚を否定しているわけではない。もちろん私もそうだった。経緯はどうであれ、夫婦として家族として向き合えてさえいれば良いと思っている。」
夫婦として向き合う…か。
『 そうですね。それが出来ていれば…』
うちの両親も少しは違った関係になれていたのかもしれない。
「 浮所くんも娘もそれが出来ていない。だから…お前には申し訳ないと思っていた。」
『 よしてください。お祖父様が謝ることではないですよ。これは、両親の問題なんですから。』
「 だが私は、どうしても浮所くんが不憫に思えてしまってな。息子夫婦を見ていると、余計にそう思うのだ。」
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作者名:wawa | 作成日時:2021年1月14日 15時