秘めた想い 3 (ページ48)

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『猪狩くん、本当にお世話になりました。』

「いえいえ。折角なのでもう少しゆっくりしていったらどうですか？」

「家の者も心配してるだろうから、もうこの辺で。猪狩、ありがとう。また今度、お礼は改めてさせてもらうから。」

雄登くんがそう言うと、

「そんなお礼なんて。余計な気は使わないでください。」

『まぁ、また今度。せめてどっかでお茶でも奢らせて。』

「わかりました。先輩達は律儀ですね。じゃ、楽しみにしてます。」

玄関先でそんな挨拶を交わしていると、お兄さんと一世くんも見送りにきてくれた。

「もう帰っちゃうの？残念。もっと話したかったなぁ。また遊びにきてね！」

『はい、ありがとうございます。それじゃ、お邪魔しました。』

そう言って手を振り、猪狩家を後にした。

そして最寄りの駅に向かって、雄登くんと連れ立って歩く。

何だか気まずい…

何か話そうかな…えっと…

『猪狩くんのご家族、親切だったね。すっかりお世話になってしまって。』

「そうだな… 本当に。」

素っ気なく答えて、スタスタと歩く雄登くん。

うーん…やっぱり機嫌悪いのかな？
なんでだろ？

『えと…猪狩くんって3兄弟の真ん中だったんだね。お兄さんも弟さんも感じのいい人だったなぁ。』

「 … 猪狩の兄貴、ずっと瑞稀と喋ってたよな。」

『えっ、そう？確かに明るくて話しやすい人だったけど。俺のせいで迷惑かけたのに、優しくて。』