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瑞稀の笑顔を見ると、ホッとすると同時に何故か胸が苦しくなるんだ。
黙ったままジッと見つめていると…
「 …雄登くん、どうかした?」
『 え…あっ、いや。何でもない。』
「 そ、そっか。じゃリビングに行こうか。」
『 うん… 瑞稀! あのさ… 俺、あの時…その倒れた時さ…何か…』
「 う、うん。あの… えと…な、何もないよ!だから心配しなくて大丈夫、大丈夫だから。」
焦った様子で早口で そう告げてくる瑞稀。
大丈夫って…何が大丈夫なんだよ。
やっぱり瑞稀に聞かれてたんだ。
なのに、また何か勘違いしたまま自己完結しようとしてる?
全く、相変わらずだな。
でも悪いけど…
スルーさせる気はないよ。
『 何が? 何が大丈夫なの?』
見つめ合ったまま、ゆっくりと瑞稀に近づく。
「 えっ… 雄登くん…?」
近づいて瑞稀に触れようとした瞬間…
「 井上先輩、那須先輩、準備できましたか?」
ハッとして振り返ると猪狩がドアの入り口に立っていた。
「 猪狩くん! うん、準備できたよ。ねっ、雄登くん。」
『 えっ…あぁ、うん。』
邪魔が入ってしまった…
明らかにホッとした様子の瑞稀と、落胆する俺。
瑞稀は猪狩と一緒に先に部屋から出て行ってしまった。
俺はため息をついて、大きく肩を落とした。
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作者名:wawa | 作成日時:2020年8月8日 21時