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そして再び玄関の方を振り返ると、雄登が呆然と突っ立っていた。
お前もか…
雄登も何だか様子がおかしい。
『 …うと…雄登!』
「 えっ…なんだ、飛貴か…」
『 何だとはなんだ! さっきから呼んでたのに。お前こそ、何ボーッとしてんだよ。』
「 別に… 何でもない。疲れてるだけ。」
瑞稀くんと同じこと言ってる。
『 さっき…瑞稀くん、帰ってきたよ。もしかして、一緒だった?』
「 いや… その…偶然… 会っただけ。それだけだ…」
肩を落として小さく呟く雄登。
『 偶然? ふーん… そう。お前なんか変じゃない? いつも強気な態度なのに、らしくないじゃん。』
「 だから…疲れてるだけだって言ってんだろ! 絡むなよ!」
『 は!? ショボくれてると思ったら今度は逆ギレか? 何なんだよお前は!』
全く…どっちが絡んでるんだって話だ。
俺もイライラしてきて雄登を睨んだ。
あれ… ?
雄登、片頬が赤くないか?
『 お前… 顔、どうした? 頬が赤くなってる。』
そう言うと、ハッとした様に片頬を押さえて…
「 何でもない… ちょっとぶつけただけだ。俺、風呂入ってくる。」
そう言って、逃げる様にバスルームに向かった。
ぶつけただけだって? 顔を?
アイツはそんなにそそっかしい奴だったか?
どうにも怪しい…
瑞稀くんと雄登が一緒だったのは間違いなさそうだ。
まさかとは思うが、喧嘩…なのか?
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作者名:wawa | 作成日時:2020年8月8日 21時