秘めた想い 3 (ページ27)

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誰か帰ってきたのかな？

振り返って様子を伺うと…
瑞稀くんが入ってくるのが見えた。

『瑞稀くん、おかえり。今日は遅かったね。』

「飛貴くん… ただいま。今日は、後輩に勉強教える約束してて…それで。」

呆然と突っ立ったまま、俯き加減にそう答えてくる。

何だか元気が無いような…
どうしたんだろう？

瑞稀くんの様子が気になって、リビングのソファから立ち上がって近づきながら声を掛ける。

『そっか、試験前だもんね。後輩って佐藤龍我？』

「えっ…いや、違うよ。猪狩くんていう1年の子。その…龍我も一緒ではあったんだけど…」

『あー、あの生意気そうな1年か。ふーん。ねぇ…なんか元気なくない？どうかした？』

「別に…ただちょっと、疲れてるだけ。それじゃ…」

そう言って、俯いたまま逃げるように部屋に向かおうとする。

やっぱりおかしい…何か変だ。

去りかけた瑞稀くんの腕を咄嗟に掴むと、反動で振り返った瑞稀くんと目が合った。

え！？目元が赤い…

涙の跡…？

瑞稀くんは、今まで見たこともないような悲しい顔をしていた。

そんな瑞稀くんの顔を見た瞬間…

胸の奥がズキッと痛んで、堪らなく苦しくなった。

『どうして… そんな悲しい顔、してるの？』

掴んだ腕を引き寄せようとすると、後ろから玄関のドアが開く音が聞こえた。

物音にハッとして振り向いた隙に、瑞稀くんは腕を振り解いて、素早く奥へと走り去った。

逃げられてしまったな…

少なからず動揺し、胸が苦しくなっていた俺は…思わずため息を漏らした。