78. 雄登side ページ28
瑞稀…今日はちゃんと学校行けたみたいだな。
さっき鈴木さんがそう言ってたし。
昨日は、今までとは違って素直に瑞稀と話せた気がして嬉しかった。
元気そうで安心したけど、何かを隠しているような、取り繕っているかのようにも思えて…
俺の気のせいか…?
これからは瑞稀ともっと話そう。
もっと知れば…こんな風に気を揉まなくてすむかもしれないし。
夕食の時間になり、ダイニングに向かう途中、通りかかったリビングに飛貴がいた。
『 飛貴? 何、そのかっこ。シャワー浴びてたの?』
「 あー、雄登か。うん、ちょっと運動して汗かいたからね。」
『 運動? ふーん、珍しいな。』
「 ふふっ… 気持ち良い汗かくと、気分がいいよね。」
『 最近のお前… なんていうか、機嫌良さそうだな。』
「 そう? そういえば藤井くんにもそんなこと言われたな。」
『 夕飯、行かないの?』
「 俺は今日はパス。ちょっとお父さんから用事頼まれてね。これから書斎で一仕事しなきゃ。」
『 そっか、それは大変だな。』
「 別に。跡取りとして当然のことだ。だから、お前の出る幕なんてないんだよ。」
『 それはどうかな? 案外、俺の方が上手くやれるかもよ。』
「 ふん、口先だけならどうとでも言える。やっぱりお前と話してると気分悪くなるな。さっさと消えろ。」
『 言われなくても。お腹すいたし。じゃ、頑張ってな。』
そう言ってリビングを後にした。
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作者名:wawa | 作成日時:2020年6月3日 9時