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それから2人でお見舞いに行った。
病室でお父さんと親しげに話す飛貴くんを見ていると、少し不思議な感じがした。
本当に気が合っているみたいで…
お父さんのあんな楽しそうな顔、久しぶりに見た気がする。
病院からの帰り道…
「 井上さん、元気そうで安心したよ。」
『 うん、最近は落ち着いてて、だいぶ調子も良くなってきてるみたい。』
「 そっか、良かったね。」
『 … 飛貴くん、あのさ…お父さんと…あんなに仲良くなってるなんて、ちょっと驚いた。』
「 あはは、そう? 」
『 うん… あんなに楽しそうなお父さん、久しぶりに見たよ。』
「 体調良くなってきたからじゃない? それに…もしかしたら気持ちが若返ってるからなのかも。」
『 えっ、気持ちが若返るって…どういう意味?』
「 前にお見舞いに行った時に言われたんだけど…俺、父親に似てるみたいで。俺と話してると その頃に戻ったみたいな気分になるって言われたことあったから。」
『 そっか、なるほど… 確か、高校の頃の友達って話だったもんね。』
「 そう、ちょうど今の俺と瑞稀くんみたいな感じかな。父親達にもそんな時代があったなんて、ちょっと不思議な気もするよね。」
『 そうだよね… お父さん達も昔は高校生だったなんて当たり前のことだけど、想像つかないな。』
「 だよね。アイツに似てるなんて嫌だけど、親子だから仕方ないよね。切っても切れない縁だから…」
飛貴くん…
さっきまで穏やかな表情だったのに…
浮所さんの話になると途端に表情が無くなった。
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作者名:wawa | 作成日時:2020年6月3日 9時