53 ページ3
そんな時… 井上瑞稀が浮所家にやって来たんだ。
中学の時の生徒会長…井上先輩だって、すぐにわかったけど…
どうして先輩がここに?
父親の友人の息子らしいが…
ことの経緯を聞いたけど、どこか釈然としなかった。
それは飛貴も同じだった様で、隠し子なんじゃないかと疑っていた。
まぁ…俺のこともあるし、飛貴がそういう風に疑ってもおかしくはないが。
流石にそれはない気がしてる。
ただの勘だけど…
あの父親の井上瑞稀に向ける態度は…優しく温かなものに思えたから。
あれだけ家族に無関心な男だからこそ、他人には良い顔をする。
そう思った…
それだけではない理由が他にもあるのかもしれないが…
飛貴は、井上瑞稀のこと調べてるって言ってたよな。
もう結果は出たのか?
俺には教えてくれないって言ってたから…わからないけど。
俺は瑞稀にどう接していいのかわからなかった。
飛貴の偽りの優しさに、すっかり騙されてるみたいだったし…
飛貴と仲良くなっていく姿を見てられなかった。
俺も本当は…もっと話したい。
仲良くしたいって思ってるのに…
素直になれない自分がもどかしくて…
つい、そっけない態度をとってしまうんだ。
28人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:wawa | 作成日時:2020年6月3日 9時