忘れられない人 2

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「 アイツも苦しい恋をしてるって思うけど、やっぱり羨ましくて…。全身全霊で愛せる人に出会えるなんて幸せなことだよね。叶う叶わないは別として。」

『 どうして…俺にそんな話をする？』

「 俺も瑞稀くんも本気で人を好きになったことがないんだってこと。だから、嫉妬心も理解できない。」

『 そんなことない。俺だって本気で人を好きになったことくらい…』

俺は優斗先輩のことが好きだったんだから。

先輩に彼女ができたって聞いても、嫉妬はしなかったけど…

嫉妬しないからって本気じゃないなんてことないはずだ。

そう言いたかったけど…
言葉にならずに黙り込んでしまう。


「 とにかく、本気の相手に中途半端は通じないってことだよ。愛してないなら断ち切ってあげなきゃ。飛貴の為にもね。」

『 断ち切るなんて…そんなことできない…』

「 同情は禁物だよ…そんなもの飛貴は求めてない。それとも他に理由があったりする？ 例えば脅されてるとか。」


コイツ…
何をどこまで知ってる？


『 バカ言うな！ わかったよ… 俺も自分の気持ちを整理してみる。大昇ってさ、恋愛マスター？』

「 は？ 何言ってんの…からかわないでよね。」

『 からかってないよ。お前と話してると、スッキリできそうで、また別のモヤモヤというか悩みが出てきたりするけど、俺も飛貴もお前しか相談できる人いないから…』


今なら…

俺達のこと誰かに知ってて欲しかったと言っていた、飛貴の気持ちが少しわかる気がした。

「 そうだね…良いアドバイスとか出来ないけど、話はいつでも聞くから、何かあったらいつでも来てよ。」

そう言って大昇は笑った。

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