秘めた想い (ページ29)

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猪狩くんは、一瞬驚いていたけどすぐに真顔になって、

「お時間取らせてしまってすみません。失礼しました。」

と言って去って行った。

藤井くん？どうして…

『藤井くん… 移動教室なんて嘘でしょ。どうしてそんな嘘つくの？』

「嫌な予感がしてたんだ。言ったよね、下級生とは関わるなって。」

『 … 反省室って、何？』

「瑞稀くんには関係ない。今更、そんなこと知る必要もないよ。」

『そんな頭ごなしに関わるななんて言われても訳がわからないよ！藤井くん、何か隠してることがあるなら教えてよ！』

気がついたらそう捲し立てていた。

『ご、ごめん。ついカッとしてしまって…』

すると藤井くんは大きなため息をついて、

「いや…気にしないで。俺こそゴメン。そうだよね。そりゃ…あんな話聞いたら気になるよね。」

藤井くん…
どこから話を聞いてたんだ？

「反省室っていうのは、まぁ平たく言うと校則違反を犯した生徒が入る部屋だよ。今時珍しいとは思うけど、うちは結構厳しいから。」

『校則違反って… 龍我が何かしたってこと？でも猪狩くんは、会長に目をつけられてるって…』

「さぁ… 詳しいことはわからないけど、何かやったのは間違いないんじゃない？」

『何かって… そう言えば遅刻したとか言ってたような気がするけど、それくらいで？』

「何度も繰り返したのならあり得るんじゃない？とにかく判断を下すのは生徒会だ。飛貴は…厳しいから、今までよりも大変なのかもしれない。」