秘めた想い (ページ28)

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そんなある日のこと… いつもの様に中庭で読書をしていると、

「井上先輩… ですよね？」

『君は… 確か、ガリーくん、だったかな？』

「ガリーくんはやめてください。1年の猪狩蒼弥と申します。」

『猪狩くん… 珍しい苗字だね。』

「よく言われます。」

意思の強そうな…鋭い視線を向けてくる。

『今日は、龍我は一緒じゃないの？』

「アイツは… 今日は…反省室で補習してます。」

『反省室？何それ？』

「えっ… まさか、知らないんですか？」

『あー、、えっと…俺は編入してきたばかりで…この学園のことあんまり知らないんだ。』

「そ、そうだったんですね。失礼しました。俺、てっきり。今のは聞かなかったことにしてください。それじゃ…」

慌てて去って行こうとする猪狩くん。

『待って！俺に何か…話があったんじゃないの？』

思わず呼び止めると、立ち止まってゆっくりと振り返る。

「龍我を…助けて欲しくて。アイツは会長に目をつけられてるみたいで…」

『会長って…飛貴くんのこと？』

「そうです。井上先輩が、会長と一緒に登下校するのを何度か見かけたことがあったので…会長と親しいんじゃないかって、それで…」

「瑞稀くん！何してるの？」

気がつくと藤井くんが俺と猪狩くんの近くに立っていた。

え…いつの間に？

『藤井くん。今ちょっと猪狩くんと話してて…』

「そう。猪狩くん、お話中にゴメンね。俺達、次移動教室だから、悪いけどまたの機会にしてくれるかな？」

そう言って有無を言わさない笑顔を向ける藤井くん。