秘めた想い (ページ26)

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「えっ、もうそんな時間？ヤバっ、気づかなかった。」

焦った様子でそう呟く龍我。

「ったく、バカかお前は。俺はお前のお守りじゃない。もっと自分で気をつけとけ！ほら、行くぞ。」

「あっ、待ってよ、ガリー！井上先輩、すみません、お先に失礼します。」

『あっ、うん。またね。』

俺に一礼して慌ただしく去っていく。

ガリーと呼ばれた友人らしき子も、軽く会釈して去って行った。

きっと、礼儀正しいしっかりとした子なんだろうな。

いけない、もう時間だ！
俺も急いで戻らなきゃ。

教室に戻ると同時にチャイムが鳴った。

良かった、ギリギリセーフ。

ホッと胸を撫で下ろしていると、藤井くんが話しかけてきた。

「瑞稀くん、遅かったね。こんなギリギリに戻ってくるなんて珍しくない？」

『うん、中庭で後輩と話しててね。それで遅くなっちゃった。』

「そうだったんだ。でも今日は自習みたいだよ。」

『えっ、先生、どうかしたの？』

「急な発熱だって。ちょっと心配だけど、昼寝できるからラッキー。」

『もう、藤井くんは。まぁ確かに昼食後の授業は眠いけどね。』

「でしょ？昼寝は大事だよ。」

最もらしく力説する藤井くんに思わず苦笑いしてしまう。

「それにしても、瑞稀くんに後輩と接点があるなんて意外だな。ほら、うちの学校に来たばっかりでしょ？」

『うん。たまたま中学が一緒だった後輩にバッタリ会ってね。』

「へー、中学の時の後輩かぁ。それは縁があるね。」