秘めた想い (ページ24)

今日:25 hit、昨日:16 hit、合計:17,842 hit

24.瑞稀side ページ24

あれから1か月…

俺は幸せだったあの頃に戻ったかの様な日常を送っていた。

こんな穏やかな日々が再び訪れるなんて、夢みたいだ。

だけど…
所詮は束の間の夢だったのだろうか？

思えばこの穏やかな日々は…

嵐の前の静けさだったのかもしれない。

学校にも慣れ、昼休みに中庭のベンチで本を読んでいると…

「 …会長？…井上会長ですよね？」

え…？

驚いて顔を上げると、綺麗な顔をした長身の子が目の前に立っていた。

誰だ？

ネクタイのラインの色からすると1年生みたいだけど…

「あっ、やっぱりそうだ！すみません、いきなり話しかけてしまって。」

『いや…謝らなくてもいいんだけど、ごめん… 君は誰…？』

「すみません、何だか懐かしくて。会長は俺のこと知らなくて当然です。俺、Ｊ中学出身なんです。」

『え…Ｊ中学の？そっか、そうだったんだ。なるほど、それで。』

「はい。入学式の時の会長の姿がカッコよくて、凄く印象に残ってたんです。思いがけずこんなとこで会えるなんて、嬉しいです。」

ニコニコと屈託のない笑みを浮かべている。
無邪気な感じの子だな。

『ありがとう、褒めてくれて。Ｊ中学かぁ…懐かしいな。君、名前は？』

「佐藤龍我って言います。よろしくお願いします。」

『こちらこそ、よろしく。俺は、先月この学園に編入してきたんだ。だから、ここでは佐藤くんのほうが先輩だね。』