秘めた想い (ページ12)

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少し考え込んでいた鈴木さんだったけど、しばらくして口を開いた。

「瑞稀くんは、ここに住むんだし…いずれは耳に入るだろうから話しておいたほうがいいわね。」

『え… あの…』

「この家の者は皆、知ってることだけど…外では絶対に口外しないでね。」

『はい、もちろんです。口外しません。』

そう言うと鈴木さんは頷いて、

「雄登様がこの家に来たのは…一年ほど前からなの。高校進学と同時にここに来たから。」

「旦那様がご結婚される前に…お付き合いされてた方がいて、別れた後に妊娠がわかったみたいで…ずっと浮所家とは関わりなく生活してたんだけど、雄登様のお母様が亡くなられて、それで旦那様が引き取ったのよ。」

そうか… そうだったのか…
それは中々に複雑な事情だ。

『そう…だったんですね。』

「家の者には周知の事実だけど、表向きは従兄弟ってことになってるから…瑞稀くんもそのつもりでね。」

『はい、わかりました。』

まさか…そんな事情があったなんて。

その日の夜、バスルームに向かう廊下で雄登くんとすれ違った。

鈴木さんから話を聞いた後だったから、思わずドキッとした。

『雄登くん、お、おやすみなさい。』

黙って通り過ぎる訳にも行かず、そう挨拶をした。

なんか俺、雄登くんに避けられてるみたいで…

俺、何かしたかな？

第一印象が悪かったのかな？