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1.瑞稀side ページ1
どうして…
どうしてこんなことに…
覚悟を決めたつもりだった。
なのに…いざとなると怖気づいて、気がついたら逃げ出していた。
俺はこんなとこで何やってるんだろう…
どうすることもできない無力な自分が情けなくて…
ふらふらと行く当てもなく雑踏の中を歩いていると雨が降り出した。
土砂降りの雨の中…歩き疲れて公園のベンチに座り込む。
この世で自分が1番不孝だなんて思わないけど、どうして俺がこんな目に遭わなきゃならないんだ？
そんなことを何度も考えたりした。
考えたって何も変わらないのに…
もう…疲れた。
何も考えたくない…
ベンチに座ったまま下を向いていると、不意に傘が差し掛けられた。
誰だ？
通りすがりの親切な人だろうか？
緩慢な動作で顔を上げると、見知らぬ男性が立っていた。
「 瑞稀くん… だよね？ 探したよ。こんなところでずぶ濡れになって、可哀想に。」
俺のこと…知ってる？
『 あなた… 誰ですか？ まさか…債権者なんじゃ…』
「 違うよ。そうか…覚えてないよね。君が小さい頃に一度 会ったきりだから。」
懐かしむ様に優しく微笑む男性。
債権者じゃないのか…
思わずホッとしてため息が漏れた。
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作者名：wawa | 作成日時：2020年4月29日 17時
