天使の恋わずらい (ページ44)

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何となく気まずくて…
家に着くまでお互いに無言だった。

別れの時が迫っているのに、こんな気まずいままなんて嫌だ。

『瑞稀。その…さっきは本当、ごめんね。』

「えっ… いや、別にそんなに気にしてないし、大丈夫だよ。ただちょっと、びっくりしただけだから。」

そう言って俺に優しく微笑みかけてくる。

そんな瑞稀を見ていると堪らなく愛しくて…

『うん… 俺、瑞稀のことが好き。愛してるんだ。』

そう呟いて、瑞稀をギュッと抱きしめた。

「龍我… うん、俺も。愛してるから。」

そう言って瑞稀も抱きしめ返す。

この温もりを手放したくなんてない。

だけど…もう時間がない。

瑞稀が再び調査リストに上がるようなことになったら取り返しがつかなくなる。

それだけは絶対に避けなければ…

「龍我、ちょっと、痛いよ。」

気がつくと俺は、抱きしめる腕に力が入り過ぎていたみたいで…

『ごめん。離したくなくて、つい。』

「心配しなくても俺は離れたりしないから。安心して、龍我。」

『えっ、、瑞稀？どうして…』

俺の心の声が聞こえたのか？

「だって…何だか不安そうな顔してる。大丈夫、俺は龍我とずっと一緒にいるから。だから、心配しなくてもいいんだよ。」

瑞稀…

『うん…そうだよね。』

瑞稀の気持ちが嬉しくて…
それと同時に辛くて…

俺はどんな顔をしていいのかわからなかったけど、瑞稀を安心させたい一心で…小さく笑ってみせた。