天使の恋わずらい (ページ5)

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瑞稀が俺に笑顔を向けてくる。

それがたまらなく嬉しくて…

久しぶりの再会を噛みしめるようにジッと瑞稀を見つめた。

「えと… あの… どうかした？」

『あっ…いや何でもないよ、瑞稀。定期、見つかって良かったね。』

「え！？なんで、俺の名前…」

しまった！

つい、嬉しすぎて我を忘れてしまった…

今生では初対面だし、瑞稀は俺のこと覚えてないのに。

『そ、それは…その定期に名前が書いてあったから。』

「ああ、そっか。なるほど。本当に…ありがとう。えと… 名前、聞いてもいい？」

『龍我… 佐藤龍我だ。』

「龍我… いい名前だね。なんか、カッコいい。俺なんて女の子みたいな名前だから…羨ましいな。」

『そんなことない！瑞稀って素敵な名前だ。俺は好きだよ。』

思わずムキになってそんなことを口走ってしまった。

瑞稀は一瞬、呆気にとられた顔をしていたけど、クスッと笑って、

「ふふっ… 佐藤くんって面白いね。でも褒められると悪い気はしないし、嬉しいよ。」

『龍我… 俺のこと、龍我って呼んで。』

「え、、うん。不思議… 龍我って初めて会った気がしないな。何だか、懐かしい感じがして。」

懐かしい？

瑞稀にそんなこと言われたのなんて…初めてだ。

まさか…俺のことを覚えてる？

いや…そんなはずない…

ないはずだけれど、稀に前世の記憶を持つ者もいると聞く。